神奈川・大和市長のパワハラ疑惑 管理職19人が被害訴え 「見聞きした」合わせると半数超

弁護士同席でアンケート結果を説明する井上調査特別委員長(中央)ら=大和市役所

 神奈川県大和市副市長を今年4月に任期途中で辞職した金子勝氏(64)が大木哲市長(73)による職員へのパワーハラスメント的言動が繰り返されていると告発したことを巡り、大和市議会の調査特別委員会(井上貢委員長)は27日、実態把握に向けて行った市管理職のアンケート結果を公表した。「ある(被害を受けた)」と自身の被害を19人が訴え、「見聞きした」との回答を合わせると半数を超えた。「パワハラはねつ造で一切ない」と否定してきた大木市長の説明とは食い違う結果が示された。

 調査委のアンケートは、職員組合が6月に行った同様の調査で対象にならなかった課長、部長らに対して無記名で実施。委員が10月に用紙を渡し、郵送で回収した。

 134人のうち103人が回答(回答率77%)。「市長によるパワハラと捉えられる言動を直接受けた、もしくは見聞きしたことがあるか」との設問に、15人が「ある」「見聞きした」とし、4人が「ある」と回答した。また、「見聞きした」と答えた42人と合わせると全体の59%を占めた。

 記述された行為は「大声で叱責(しっせき)したり、激しく恫喝(どうかつ)する」「言うことをきかないと降格を示唆」「理不尽な理由で反省文を書かせる」など。精神疾患になって休職した事例もあった。

 こうしたパワハラ行為が市長室や幹部会議の席で常態的に起きているとの金子氏らの告発を裏付ける内容もみられた。斉藤園子総務部長が「市長就任以降の14年間で該当するハラスメントの相談はない」と市議会で答弁していたが、「相談体制が機能していない」との指摘もあった。

 先に行われた組合のアンケートでは回答者475人のうち、市長のパワハラを見聞きしたは25%の119人、直接の被害は数人だった。その上司に当たる管理職からの伝聞が大半だったため、今回の結果が注目されて大幅に上回った。

 会見した井上委員長は「想像したよりも被害回答が多く、結果を大変重く受け止めている。今回、副市長からのパワハラ行為についても32人が訴えており、事実ならばこうした体質が庁内に蔓延(まんえん)しているかもしれない」と感想を述べた。

 大木市長は「裁判に訴えていることから発言は控えさせていただきます」とのコメントを出した。

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