北朝鮮で進む自然再生エネルギーの活用

慢性的な電力不足に苦しめられている北朝鮮。その原因としては、火力発電所で使う燃料の不足、降雨量が少ない気候を無視し、見栄えがする水力発電所ばかりを建設した政策などが挙げられる。

そのような状況を打破するために、自然再生エネルギーの活用が進められている。

対外向けプロパガンダサイト「朝鮮の今日」は25日までに、国家科学院自然エネルギー研究所の所長とのインタビュー記事の形で、自然再生エネルギーの活用状況について報じた。

北朝鮮の自然再生エネルギーの活用は、金正日政権時代末期に遡る。当時、太陽熱水加熱生産基地を建設したが、朝鮮中央通信は2011年10月、金正日総書記が太陽電池設備センターを現地指導をしたことを報じ、毎年数千枚のソーラーパネルを大量生産する予定だと伝えている。

それ以降、ソーラーパネルの普及が進み、太陽熱発電所が各地に建設される一方で、一般家庭でも小型のソーラーパネルを導入する事例が増えている。

その後、技術が発展し、現在では電気と熱が同時に生産できる高効率の設備の研究プロジェクトが最終段階に到達。金日成総合総合大学太陽光電池製作所は独自技術を開発し、生産ラインではソーラーパネルに関連する製品の生産に入っていると、記事は伝えている。

系統並列型逆変換器を利用すれば、民家や企業で生産した電気を、国の送電網に組み込むことができるとも記事は紹介している。実際に三千里照明器具工場、クムサンポ塩辛加工場、海州(ヘジュ)化学工場や、平壌市内の中心部などで、このような取り組みが行われているとのことだ。

一方で、農村ではメタンガスを使った電力生産システムの導入が進められているとして、既に導入された事例として慈江道(チャガンド)熙川(ヒチョン)市の柳中里(リュジュンリ)など3か所が挙げられている。

実例は挙げられていないものの、籾殻のガス化による発電、風力、波力、地熱を使った発電なども挙げられている。

北朝鮮が自然再生エネルギーに力を入れる理由は、国内で多く採掘される石炭が、制裁解除後に輸出されることを見込んでのことだろう。石炭は輸出に回して外貨を稼ぎ、国内で使用する電気は、できる限り国内でコストを掛けずに生産したいということだ。

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