朝鮮の2021年は「勝利の年」/ 党中央委が評価 5カ年計画遂行初年度、経済分野でも成果

朝鮮では労働党第8回大会(1月5~12日)とともに2021年が幕を開けた。

党大会が示した新たな国家経済発展5カ年計画初年度の課題完遂に向けてまい進してきた今年を、党中央委員会は「勝利の年」(12月1日、党中央委第8期第5回政治局会議)と評価した。

内なるパワーをいっそう強化

 2021年1月に開催された党大会が掲げた基本精神は、「社会主義建設の主体的な力、内部の動力を一段と強化し、すべての分野において新たな勝利を達成しようということ」(金正恩総書記の結語)だった。

後5年間の政策を示した党第8回大会(すべて朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 朝鮮が米国との対立長期化を見据えて、制裁を既成事実化し、主体的な力、内的動力の強化であらゆる困難を正面突破していく「正面突破戦略」を打ち出したのが2019年12月。

 世界的大疫病と自然災害の予期せぬ難局を乗り越えて転禍為福を実現した2020年を経て、朝鮮は党第8回大会で「主体的な力、内的動力」強化の方針をいっそう鮮明化した。主体的な力、内部の的動力とは、「われわれ自身の力、主体的力量であり政治思想的力量、軍事力、経済力の総体」(労働新聞2月13日付論説)とされる。

 党大会後、主体的力量、内的動力強化で党大会の決定を無条件で遂行するためのさまざまな措置が矢継ぎ早に講じられた。

 政治面では、党の重要会議が1年を通じて頻繁に行われ、内外の情勢の変化に応じて党中央委の事業が正常に総括され、重要な戦略戦術的問題がその都度、討議・決定された。青年同盟をはじめとする各団体の大会、第1回市・郡責任書記講習会や第6回細胞書記大会などの重要政治行事が相次ぐ中、すべての部門、単位で党大会の決定遂行がいっそう加速化された。

 経済面では、党第8回大会において、経済を外部の影響に左右されることなく、円滑に運営できる正常軌道に乗せることを目的とした新たな5カ年計画の下、初年度の課題遂行に各部門が拍車をかけてきた。

 党大会の決定に基づいて内閣が作成した今年の経済計画が不十分だったことから、2月に党中央委第8期第2回総会が招集され、ここでより実行性のある正確な計画が策定された。6月には党中央委第8期第3回総会が開かれ、上半期の総括と下半期の計画決定がなされた。

 経済建設における内閣の主導的役割を強化するための積極的な対策が講じられ、人民経済計画法が修正、補足(9月、最高人民会議第14期第5回会議)されるなど制度的措置も強化された。

 軍事面では、党第8回大会で策定された国防発展及び兵器システム開発5カ年計画に基づいて、新型戦術誘導弾試射(3月25日)、新型長距離巡航ミサイル試射(9月11、12日)、鉄道機動ミサイル連隊の射撃訓練(9月15日)、極超音速ミサイル「火星―8」型試射(9月28日)、新型SLBM試射(10月19日)など、新たに開発した戦略戦術ミサイルの試射が行われ、敵対勢力による攻撃を朝鮮の領土外で消滅させる打撃力をいっそう強化する国防建設が着々と進められた。

 党創建76周年に際して開かれた初となる国防発展展覧会では、過去5年間に開発・生産された戦略戦術兵器が一堂に集結し、朝鮮の自衛的国防力を内外に誇示した。

2021年10月に初めて開催された国防発展展覧会(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 市・郡強化路線に基づいて

 朝鮮では今年、党第8回大会で示された市・郡強化路線に従って、すべての市・郡の同時的で均衡的な発展を目指して、地域の特性に即した地方建設に注力してきた。

 党大会後、決定遂行のための初の部門別協議会として3月に開催された第1回市・郡責任秘書講習会では、地方経済と人民生活を発展・向上させるうえで重要な契機となった。9月の最高人民会議第14期第5回会議では、地域発展を促すための新たな法も整備された。

 さらに市・郡強化路線と連動する形で3大革命実現のための大衆運動の新たな方針も示された。

 11月に行われた3大革命先駆者大会では、思想・技術・文化の3大革命実現のための運動を、従来の機関、企業所、職場などの範囲にとどまらず、市、郡、連合企業所を含むより広範囲に拡大展開する方針が打ち出された。

 「全国200余の市、郡が3大革命の旗を高く掲げて奮起すれば、地方が変革する新しい局面が開かれ、地方の姿が変わり、農村の昨日と今日が明確に変化することから社会主義建設の全面的発展期が始まる」(金正恩総書記が送った書簡)とされ、こんにちの社会主義建設における市・郡強化の位置づけがいっそう強調された。

 1年を通じて、市・郡強化の取り組みが力強く展開され、各地でさまざまな成果があがった。

 経済復興のモデルとされる江原道に次いで、平安北道で工業や農業における成果が多数報告された。郡レベルでは江原道の金化郡がモデルケースとなり、内閣と国家計画委員会、軽工業省が現地と協力の下、同地に「地方工場の新たな基準」となる工業団地の建設が進められてきた。

 とりわけ4年間におよんだ開発プロジェクトの年内完工が伝えられている両江道三池淵市の経験は、「地方が変革する新しい始原を開くためのこんにちのたたかいで大きな意義を持つ」(11月、金正恩総書記)と位置付けられた。

地方建設のモデルとしてリニューアルされた三池淵市内

 農業と建設で成果

 党大会で打ち出された新たな建設プロジェクト、平壌市5万世帯住宅建設をはじめとする住宅建設も各地で進捗した。

 党創建80周年を迎える2025年まで毎年1万世帯ずつ、累計5万世帯の住宅を建設する平壌市住宅建設は、3月に着工し、11月上旬に「完工段階に入った」と伝えられた。これと並行して、同時期に着工した普通門周辺の普通江川岸に約800世帯を建設する普通江川岸段々式住宅区の建設も急ピッチで進められてきた。

 前述の三池淵市や金化郡のほかにも万景台周辺や平安南道の平原郡、開城市、江界市などで住宅が新設され、8月に豪雨被害に見舞われた咸鏡南道の市・郡でも10月までに住宅が復旧した。

 農業部門では、今年も猛暑と干害など悪条件の中でも、被害を最小限にとどめて一定の成果が報じられた。

 農業生産は、「どんな対価を払っても達成すべき国家の重大事」(党第8回大会)として取り組まれてきた。咸鏡南道で豪雨により数百ヘクタールの農耕地が冠水する被害があったものの、今年の農業生産は良好だったと国内メディアが伝えている。

 両江道の三池淵市野菜温室農場や咸鏡北道の仲坪野菜温室農場など近年建設された大規模な温室で増産成果があがり、全国的に温室栽培の野菜生産計画が4%超過遂行された。

 また今年、西海岸に二つの大規模干拓地が完工し、穀物増産の土台が築かれた。 

干拓地開墾史上最大の洪建島干拓地

今月1日に行われた党中央委8期5回政治局会議で金正恩総書記は、今年、農業と建設部門をはじめ、政治、経済、文化、国防部門など国家事業の全般的な分野で肯定的変化が起きたと言及。国の経済発展と人民の生活向上を目指す土台を構築するために計画された事業全般が活気に満ちて前進していることを示していると述べた。

 12月下旬に予定されている党中央委第8期第4回総会では、今年の課題遂行状況が具体的に総括され、新年度の計画が示されることになる。

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