琉銀元支店長が2億円着服 顧客の投資信託の資金、15年間ギャンブルなどに

 琉球銀行(川上康頭取)は27日、同行元支店長の50代男性が、顧客から投資信託(投信)用の資金をだまし取り、私的に流用していたと発表した。被害を受けたのは14の個人・法人で、被害総額は約2億1千万円に上る。琉銀によると元支店長は事実を認めている。同行行員による着服額としては過去最大。琉銀は刑事告発に向け県警と調整している。

 琉銀によると、元支店長は2006年から21年の15年間にわたって、顧客に対し「琉銀が取り扱う投資信託を購入する」と説明し、現金や小切手を着服した。ギャンブルや借入金の返済に充て、被害者には「配当金」と称して現金を直接手渡し、投資信託が購入されているように装っていた。被害者の多くが元支店長の知人という。

 11月下旬に顧客から投信解約の申し出を受けたものの、購入履歴が見つからなかったことから着服が発覚した。琉銀は被害者全員に事実関係を伝え謝罪している。

 元支店長は「配当金」などとして被害者側へこれまで約7千万円を返済しており、着服発覚後に残る約1億4千万円も全額返済した。被害者側との示談も成立している。

 元支店長は着服が発覚する前に転職を理由に退職しており、琉銀は信用失墜などを理由とした退職金の返還請求も検討する。不祥事の責任を明確にした上で、関係者の処分も行うという。

 琉銀は会見ではなく報道向けの説明を実施。「お客さま、地域の皆さまの信頼を裏切り、役職員一同深く反省しております」とのコメントを発表した。再発防止へ内部管理体制の強化を図るとしている。琉銀は投信について不審と感じる取り引きについて問い合わせ窓口を設けている。連絡先はフリーダイヤル(0120)441212。(小波津智也)

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