5歳児の里親委託「児相の一方的解除は不当」差し止め求め提訴へ 里親側「子の精神にダメージ」

 生後2カ月から養育している子ども(5)の里親委託を児童相談所が一方的に解除するのは、里子の心の平穏や健全な成長を無視した不当な対応だとして、本島在住の50代夫妻が県を相手取り、解除の差し止めを求めて那覇地裁に提訴することが27日、代理人弁護士らへの取材で分かった。28日に提訴する方針。

 訴状などによると、里子は5年以上、原告である里親の下で育っている。発達障がいがあり、医師の助言もあって、実親ではないと知らせる「真実告知」をしていない。

 県外に住む実母が2019年に再婚し、生活が安定したとして、児相は里親に対し、里子に告知し、実母との面会を調整するよう要求。だが、新型コロナウイルスの影響もあり、告知や面会は先延ばしになっていた。

 今年に入り児相は告知と面会を進めるよう里親に強く求めるように。12月、親権者の実母の意向を踏まえ里親の委託を解除し、一時保護すると通告した。親権者の同意がなければ委託は続けられない。里親側は「里親のフォローなしに告知や面会を行うのは子どもにとって大きな精神的ダメージになるのは明らかだ」と主張。もう一度話し合うよう提案したが、児相は里子を一時保護所に入れるとし、来年1月4日に引き渡すことになった。

 里親は実母が今年離婚し、経済的、生活的に不安定な状況が予想されると指摘。一時保護の後、県外で暮らす実母に引き渡される見通しの中で里親委託を解除するのは「児童福祉法の趣旨や目的に反し、違法だ」としている。

 児相の担当者は「個別の案件には答えられない」とした上で、一般的に、実親が里親委託解除を申し出たら、虐待ケースでない限り、その日のうちに手続きを始めるとし「子の疾病や特性に関する医師の診断は重要であり、診断を踏まえて一時保護所で行動観察を行い、適切なプログラムを組む」と話した。

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