【ラジねえ。企画】大阪国際大の女子ラクロス部を訪問 顧問を務める堀込さん「僕の生き方はおすすめできない」

ラジオ体操をする大阪国際大学女子ラクロス部の皆さんと『ラジねぇ。』(中央)

今回訪れたのは大阪・守口市にある大阪国際大学。
元気いっぱいの女子ラクロス部の皆さんとラジオ体操をしました!
部員の皆さんは「めっちゃ楽しかったです!」「チームの一体感が出ていました!」「ラジオ体操を通してチームが1つになれた気がして、とても良い経験でした」と、ラジオ体操のパワーを体感してくれました。ラクロス部顧問の堀込孝二さんとキャプテンの小田明日香さんに話を聞きました。  

「地上最速の格闘技」ラクロスとは?

ラクロスは、「クロス」と呼ばれる網のついたスティックを使って直径6cmの硬質ゴム製のボールを相手ゴールまで運んで点を奪い合う競技です。15分×4クォーター制で、男子はヘルメットなどの防具を着用し激しい接触プレーがあるのに対し、女子はユニフォームが主にミニスカート。目立った防具を身につけず接触プレーは禁止となっています。男女でルールが違うことも特徴でそれぞれに魅力があります。

大阪国際大学女子ラクロス部の練習の様子(提供:大阪国際大学女子ラクロス部)

ネットのついたスティックが「クロス」これでボールを運び、パスやシュートします。

大阪国際大学女子ラクロス部の練習の様子(提供:大阪国際大学女子ラクロス部)

居酒屋で言われました「ラクロス部の顧問をやってくれないか」

最初にお話しを聞いたのは大阪国際大学ラクロス部の担当の堀込孝二さん。3年前、ラクロス部顧問に就任するまでにさまざまな経歴をお持ちだということで…自己紹介からお願いしました。

堀込:堀込と申します。大阪市生野区出身です。まずは僕のスポーツ歴からお話しします。小学2年生から高校卒業までは野球に打ち込んでいました。その後、進学した大学には硬式野球部がなかったんです。そこで誘われたのがアメリカンフットボール部。4年間打ち込んで、卒業後はサラリーマンをしながらアメリカンフットボールのコーチとして10年ほど後輩の指導をしていました。

インタビューを受ける大阪国際大学女子ラクロス部顧問の堀込孝二さん

ラジねえ。:所属されてきたチーム全てでキャプテンや副キャプテンをされていたと聞きました

堀込:たしかに小学校から大学までの全てのチームで幹部に入っていましたが、自慢できるようなことではないです。ちゃんと認められていると感じたのは高校のときぐらいかな。監督から言われていたのは「お前は責任感がないから何をするかわからん。責任感を持たせるために役割を与えてる」と。(笑)

ラジねえ。:でも、信頼がないと抜擢されることはないですよね。

堀込:どうなんでしょう。逆によっぽど信頼がなかったのか。(苦笑)

ラジねえ。:堀込さんはいろんなスポーツに対して熱い想いをお持ちですよね。

堀込:もちろんスポーツが好きでずっとやってきました。ただ高校までは野球漬けで、それ以外のスポーツはそれほど知らないし、あまり見ませんでした。大学に入ってアメリカンフットボールを始めて…考え方とかやり方が野球とは全然違うんですよね。野球は練習時間がむちゃむちゃ長いのに対し、僕の大学のアメリカンフットボール部の練習は長くても2時間半ぐらい。最初「このチームやる気あるんかな?」と思いました(笑)。しかし、2時間半の内容でもとてもしんどいんです、密度がすごく濃くて。「長時間やればいいというもんじゃないんだな」と気づきました。また、今のラクロス部にとても通じるのですが、アメリカンフットボールは大学に入ってから始める人が多いんです。高校の時にサッカーをしていましたとか、バスケットボールをしていました、陸上部でしたっていう人たちの集合体です。いろんな競技のいろんな話をすると、「こんな世界あるんや」とか「こんなやり方あるんや」とか、今に活かせることを学ぶことができたと思います。

ラジねえ。:選手として競技を離れてから、大阪国際大学に勤めるまでの経緯を教えてください。

堀込:大学卒業後、1社を経由して、スポーツに携わる仕事に就きました。屋外スポーツの器具を扱うメーカーでした。サッカーのゴールとか、バスケットのゴールなど。スポーツ業界ではあるけど、自分がプレーするわけではなく、指導するわけでもない。10数年勤めて、ふと「この先この会社に定年までいるのかな」と考えました。特に不満があったわけじゃないんですけど、なんとなく感覚で「多分この会社にはいないだろうなあ」と思いました。じゃあ自分は何がしたいのか?やっぱりスポーツが好きだし、好きなことでメシ食えたらいいよね、と会社を辞めました。当時は何も考えずに起業したので、僕の生き方は他の人には本当におすすめできないです。(笑)

香川オリーブガイナーズ球団代表時代の堀込さん(提供:堀込さん)

堀込:16年前、35歳の頃にスポーツのイベントやスクールの支援を行うNPO法人を立ち上げました(スポーツファンデーション)。その後、スポーツに携わるいろいろな仕事を経験。野球の独立リーグ「四国アイランドリーグplus」に所属するチームである「香川オリーブガイナーズ」の球団代表を務めていたこともありました。
2018年から、ご縁があり大阪国際大学の人間科学部スポーツ行動学科で講師として勤務しています。勤め始めて半年後くらいに、お世話になっている先生に「ラクロス部の顧問をやってくれないか」と、大学の近くの居酒屋で言われました。ラクロスはまったくの未経験でしたが、チームのマネジメントをしてきたこれまでの自分の経験が生きるのでは、と思い引き受けることにしました。これも僕が大阪国際大学に来た宿命なのかなと(笑)。
今もNPO法人も細々とやっているので、流行りの言葉で言うと、一応“二刀流”でやらせてもらっています。

ラジねえ。:格好いい!

堀込:言葉だけは格好いいですね(笑)。

堀込さんと女子ラクロス部の部員たち(提供:堀込さん)

学生のパワーに驚く「アメフトと同じで初心者ばかりだから成長が凄い」

ラジねえ。:顧問になって3年。ラクロスのどんなところが魅力だと感じていますか?

堀込:大阪国際大学が所属する2部リーグだと、おそらくほとんどの大学で、ラクロス初心者ばっかりなんです。だから、選手の成長が著しい。最初に比べたら上手くなっているなと感じると、見ている僕も楽しいし嬉しい。そういうところが大学ラクロスの魅力なのかなと思います。前述したように、僕がやってきたアメリカンフットボールとラクロスは繋がってる部分があります。初心者が集まっているけれど、その中で、学生が「ああでもない、こうでもない」と自主的に考えながら一生懸命頑張っている姿を見ると、僕にできることがあるんじゃないかとサポートしたくなりますね。

堀込:去年からコロナ禍の影響で圧倒的に練習時間が減っていて、部員たちは苦労していると思います。でも、活動ができない時間こそ、さまざまなことに挑戦するチャンスだと思って、僕の方から部員たちに「こんなんどう?」「あんなんどう?」と提案をしてみました。その中で、部員たちが自ら募金を募りました。来春に大阪国際大学の付属校が新しく編成されるのに合わせて、高校に女子ラクロス部が創設されるんです。せっかくやから大学のラクロス部もユニフォームを新調して学園全体でラクロスを盛り上げていこうという狙いでした。僕はきっかけ作りだけで、部員たちが工夫を凝らして頑張って、目標金額も達成したので、学生の持っているパワーはすごいなあと、率直に思いましたね。

コロナ禍でZOOMミーティング、SNS活用、プロモ動画を積極活用

ラジねえ。:コロナ禍での活動については、主体となっていた小田キャプテンに詳しくお話していただきます。

大阪国際大学女子ラクロス部 キャプテンの小田明日香さん

小田:よろしくお願いします。
コロナ禍では、短くなった活動時間の中で、どれだけ練習の質を上げるかというところにすごくこだわっています。グラウンドでの練習や対面でのミーティングができる時間が限られているため、みんなで相談して、その他の時間で各自宅からリモートで繋げてミーティングを行っています。ZOOMだと動画も共有して見られるので、今までの練習動画を一緒に見て「ここはどうしようか」「もうちょいこうしたらいいんじゃない」とか振り返りをして、次の練習に活かせるように効率よく工夫はしていますね。

少ない練習時間を充実させる工夫をしている大阪国際大学女子ラクロス部 の選手たち

ラジねえ。:コロナがきっかけでチームの雰囲気などに変化はありましたか?

小田:1回目の緊急事態宣言のときは、やっぱりチーム全体のモチベーションがすごく落ちていました。大学に行くことがなくなって、部員どうしでコミュニケーションを取る機会が少なくなってしまって。そこで、リモートミーティングの際に、堅苦しいことばかりではなく、モチベーションを上げるために、ゲームなどをしていました。イントロクイズとか、ジェスチャーゲームとか。

堀込:そんなことしてたん(笑)。

ラジねえ。:堀込先生も初めて聞いたんですね(笑)。

小田:新入部員と先輩が直接会って話す機会が少ない分、どんな人なのか分からなくて話しづらいということがあると思います。ゲームを使って練習以外でのコミュニケーションを増やし、「この先輩こんなに面白い先輩やったんや」とか、新しい発見をしてもらって、「練習ができるようになったときにみんなで一緒に頑張ろなー!」と、モチベーションを上げる工夫もしましたね。

ラジねえ。:コロナ禍では新入部員の募集など大変だったんじゃないですか?

小田:新歓のときは、コロナの影響で部活をしようと思う子が少ない中でどうしようかと考え、今の大学生はSNSを見る時間が多いと思うので、SNSには絶対に力を入れようと話していました。全部員がSNSの個人アカウントを作って同じ学科の子からフォローしてもらうなど、ちょっとでも広めていこうと。あとは、チラシやポスターも、部費から少し出して目立つものを作り、ラクロス部というものを知ってもらおうと…とりあえずできることはいろいろしましたね。プロモーション動画を作ったりも。

ラジねえ。:私もプロモーション動画を見ましたが、すごいなと思いました。編集などは誰がしたんですか?

小田:すべて部員だけで編集して作りました。自分たちの中では結構いいものができたと満足しています。実際に今年入ってくれた1回生も見てくれていて、「格好いいと思いました」と言う子もいたので、作ってよかったなと思います。

大阪国際大学女子ラクロス部の選手たち

ラジねえ。:今後のチームの目標を教えてください。

小田:ここ数年2部に停滞しているので、今年は1部昇格が目標です。コロナ禍でリーグ戦にも出場できず厳しい状況でありますが、反対に他大学に自分たちの選手層や情報が見られていないことは前向きに捉えられると思います。ひとつひとつ自分たちの課題を改善していって、達成したいです。
私はラクロスというスポーツを大学から始めて、男子と女子で使っている道具やルールが全然違うところや、展開が早いスピード感に面白さを感じています。今はマイナースポーツなのかなと思いますが、これから絶対日の目を見るときが来ると信じているので、いろんな人に知ってもらいたいですね。

大阪国際大学女子ラクロス部の練習の様子(提供:大阪国際大学女子ラクロス部)

スポーツの在り方変えるため「隅の方こそこそやってるだけです」(笑)

ラジねえ。:再び堀込さんに。学生スポーツでの課題はどういうところにあると思いますか?

堀込:そうですね…いっぱいあると思います。スポーツ自体の価値がまだまだ上がっていないこともあり、そもそも学生が部活に入りたがらない。それから、部活だけをしていればいいと思ってしまっている学生が、少なからず一定数いること。仮に卒業後プロになったとしても、引退後の人生の方が長い。その時に、漢字が書けないとか計算できないとかパソコンができないとなると、困るのは本人です。部活ももちろん頑張ってほしいけども、最低限の勉強をして単位をとって卒業してほしいな。そういうところが問題点かもしれないですね。

ラジねえ。:堀込さんは長くいろんなスポーツに関わってきていますが、スポーツの魅力はなんだと思いますか?

堀込:いっぱいあるので一言でこれが魅力っていうのはなかなか言えませんが、海外に行ったときに思うことは多いですよね。言葉が通じなくても、顔も名前も知らなくても、スポーツを通じてコミュニケーションが取れたり一緒に盛り上がれたりできる。やっぱりすごいなあと。今年の東京オリンピックも、開催前はあれだけのゴタゴタだったのに、いざ始まったら予想以上に盛り上がっている。賛否あるでしょうが、スポーツの力はすごいと感じています。

ラジねえ。:反対に、スポーツの難しさはどういうところだと思いますか?

堀込:ビジネスという点においては、僕がNPO法人を立ち上げた15年ほど前は、「スポーツ=(イコール)お金」には繋がらなかった。スポーツは基本的に“タダ”でした。見るのもタダ、指導を受けるのもタダ、という世間のイメージがすごく強かったと思います。今はだいぶ薄まってきている肌感覚はありますが。ただ、前例が少ないので、例えば“1時間スポーツを教えて、指導料はいくら?”となったとき、高いのか安いのかなどの議論が起きます。スポーツの価値がなかなか伝わってないんだろうな、やっぱりまだまだ時間がかかるんだろうな、と感じます。それこそ、東京オリンピックでメダル獲った堀米雄斗選手。22歳ながらアメリカに1億円の家を建てているらしいですからね。

ラジねえ。:えー!アメリカに…すごい!

堀込:それがいいのかどうか意見はいろいろとありますけど、僕が思うのは、22歳であったとしても、例えばもっと若かったとしても、スポーツでしっかりと力をつければアメリカでは認めてもらえるんやなと。日本ではその年齢と、文化の流れを考えるとまず無理ですよね。日本のスポーツビジネスの難しさはその辺りですかね。

インタビューを受ける大阪国際大学女子ラクロス部顧問の堀込孝二さん

ラジねえ。:堀込さんが今後スポーツ業界で目指していることを教えてください。

堀込:そんな大それたこと考えてないですよ(笑)。僕がここ(大阪国際大学)にいる今は、卒業した学生の多くにスポーツ業界に入ってもらって、それこそスポーツ業界を変えるぐらい頑張ってくれる子が出てきてほしい。そういう卒業生を輩出したいですね。5年後、10年後に、チームがこれだけこう変わりましたとか、こういうジャンルのスポーツがこれだけ普及しましたとか、関西のスポーツ業界でこれだけ頑張っていますよという報告が聞けたら嬉しいですね。

ラジねえ。:素晴らしい。

堀込:決して大それたことではないですが、日本のスポーツを変えるために…隅の方でこそこそっとやっているだけです。細々とできることを見つけてやっていく。

ラジねえ。:最後にGrowSを見ている方へのメッセージを。

堀込:一番言いたいことは、皆さんに何かスポーツをやってほしい。男性でも女性でも、年齢を問わず、見るのが好きという人も、スポンサーも。いろんな種類のスポーツがあるので、1回やってみてほしいです。向いているスポーツもあれば、向いていないスポーツもあるかと思います。とにかくやってみてもらって、面白かったら続けていけばいいし、ちょっと合わないなと思ったら別のスポーツにすればいい。面白いなというものを1つ見つけたら、続けてやってみてください。そうすれば、見る世界や人生が変わるんじゃないかなと思います。細々と、ちょこっとでもいいので何かスポーツをやってほしいなというのが僕の思いです。

取材後記

スポーツ界で多くの事業に関わり、自らスポーツ活性の場をたくさん創造されてきた堀込さん。
まさにスポーツ界のキーパーソン!そんな素晴らしい実績ある堀込さんの、謙虚さが垣間見えるインタビューでした。小田キャプテン筆頭に、女子ラクロス部の皆さんは明るく楽しさで溢れていて、私まで元気いっぱいになりました!

取材を終えて記念写真をする大阪国際大学女子ラクロス部の皆さんと『ラジねぇ。』(中央)

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