長年トムスで活躍した東條力エンジニアが2022年1月からROOKIE Racingに移籍へ

 12月28日、長年トムスのエンジニアとして数多くの優勝、チャンピオンをつかんできた東條力エンジニアが、自身のブログ(https://ameblo.jp/tsutomutojo/)内で『皆様へご報告』と題した投稿を行い、このなかで2021年12月31日付けで株式会社トムスを退職し、2022年1月1日から株式会社ルーキーレーシングに在籍することを発表した。

 東條エンジニアは、長年名門トムスのエンジニアとして活躍。スーパーGT GT500クラス、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン/全日本スーパーフォーミュラ選手権等で数多くの優勝、そしてチャンピオン獲得を成し遂げ、2021年もチーフエンジニアとしてトムスを牽引。au TOM’S GR Supraのチャンピオン獲得に貢献した。また、トムスから派遣されるかたちで、海外レースでも活躍している。

 そんな東條エンジニアが、慣れ親しんだトムスを退職し、新たにROOKIE Racingに移籍することになった。すでに関係者内には退職の報は伝えられていたが、この日自身のブログ内で、退職と移籍を公表した。

『皆様へご報告』と題した投稿のなかで東條エンジニアは、「私ごとで大変恐縮なのですが、2021年12月31日をもちまして、株式会社トムスを退職いたします。長年にわたり、トムスファンの皆様には大変お世話になりました。勝った時も負けた時にも、暖かく受け入れていただきました。心より感謝申し上げます」と綴った。

「これからもトムスのレースは続きます。もちろん強いです。レースを主体とした新しい事業を展開してゆくことになります。今後とも弊社事業に倍旧のご声援とご支援をいただきたく、よろしくお願い申し上げます」

 そして続けて、2022年1月1日から「株式会社ルーキーレーシングに在籍いたします」と移籍を発表した。

「モータースポーツを起点にしたもっといいクルマをつくり出すため、モータースポーツの魅力を地球の隅々まで届けるため、微力ながらルーキーレーシングの基盤強化を図ります」

「新しい仲間の皆さんとともに、世界に通用するレース技術を効率的に伝承するシステムを構築します。これまでのように15年も20年もかけている時間はありません。いい歳だから遠からず死んじゃうし。だからすこぶる元気なうちに、出来ることなら5~7年で形にしたいと考えています。よろしくお願いいたします」

「トヨタのスポーツカーは世界一すごいよね! って言われる時が必ず来ます。もしも覚えていて下さるのならば、フフふっと思い出していただけたら幸せです」

 今回の移籍について東條エンジニアは、「何時頃からか、レースが苦しくなっていました。勝っても負けてもポンプが破裂するような、そんな感覚が薄らいでいるのを感じていました」という。そんななか、2021年第1戦で坪井翔がau TOM’S GR Supraを駆りトップ争いを繰り広げ、「ドライビングが鮮烈すぎて、獲れる時の感覚が戻ってきたのを感じました」と綴った。

「そして、魂の最終戦でチャンピオンを戴冠することができて、仲間のはじける笑顔に涙が光っていて、その時間をファンの皆さんと共有できて、まだまだレースを続けないとダメだよって土屋(春雄)さんに背中を押されて、MORIZOさんに受け止めていただきました」

 すでに12月に行われたスーパーフォーミュラ鈴鹿合同テストでは、トムスに在籍しながら、ROOKIE Racingのピットに姿をみせていた東條エンジニア。「情熱に再び火を入れるため、プレチャンパー付きのすごいやつを仕込みました。レブリミッターに当たるのでギアレシオもロングに組み替えています」と“らしい”表現で新しい舞台への意気込みをみせた。

 東條エンジニアの他にも、今オフは有力エンジニアの移籍、さらにチーム体制の変更などが多く聞こえ始めている。ドライバーの移籍とともに、気になるところだろう。

2019年DTM最終戦ホッケンハイムでキャシディと話すトムスの東條力エンジニア。

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