身長166センチの大石さんは1984年に29本塁打を記録するなど通算148本塁打
フライボール革命が日本にも影響を及ぼす中、少年野球の子どもたちには気を付けるべきことがあるという。小柄ながら長打力も兼ね揃え、引退後は監督やコーチを務めた元近鉄・大石大二郎さんは現在、ジュニア世代の打撃を見る機会がある。そこでアドバイスするのは、アッパースイングへの考え方だ。
身長166センチと小柄な大石さんは俊足を武器に安打を量産しながら、長打力もあった。「いてまえ打線」をけん引して通算1824安打。盗塁王にも4度輝いた。本塁打は1984年に29本を記録するなど、通算148本を積み重ねた。
現役引退後は古巣の近鉄やオリックスなどで監督やコーチを歴任。最近は野球をしている小、中学生を教える機会があるという。その時、気になっているのがスイングの軌道。空振りが多い子どもには共通点があると指摘する。
間違ったアッパースイングの子どもにかける言葉は?
「アッパースイングの子どもが増えていますが、スイングの最初からアッパースイングをしようとしてヘッドが下がっている場合がある。最終的にアッパースイングに見えるプロ野球選手の多くは、バットがボールに当たるところまではレベルスイングかダウンスイングになっています。ヘッドが下がってスイングすると、ボールに当たる確率は下がってしまいます」
打球に角度をつけて打ち上げる方が安打の確率が上がるとメジャーで推奨されている「フライボール革命」は、日本でも話題となっている。大石さんはアッパースイング自体には否定的ではない。ただ、ボールをすくい上げる意識が強すぎてバットに当たらない子どもには「出だしは上から上から」と伝え、スイングのバランスを取っている。
「バットに当たるようになると打撃のおもしろさが分かり、欲が出てきて自ら練習する好循環が生まれると思います」。現在は指導の現場からは離れている大石さんは、子どもたちに知識や経験を伝えている。(間淳 / Jun Aida)
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