【2021年、彼らのやったことを忘れるな!】“報道弾圧”兄弟か! 岸信夫防衛相の接種予約欠陥報道への“逆ギレ”に兄・安倍前首相が同調し「朝日毎日は妨害愉快犯」とツイート

安倍晋三Twitterより

2021年も、残すところあとわずか。本サイトで今年報じた記事のなかで、反響の多かった記事をあらためてお届けしたい。
(編集部)
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【初出 2021.05.18】

無責任にも程があるだろう。菅義偉首相の肝いりではじまった新型コロナワクチンの「大規模接種センター」をめぐる予約システムの欠陥について、運営を担う防衛省のトップ・岸信夫防衛相が、壮大に「逆ギレ」をしている件だ。

まずは経緯を振り返ろう。「大規模接種センター」のウェブ予約は昨日17日からスタートしたが、昨夕、実際の接種券番号ではなくデタラメな架空の数字や65歳未満の生年月日を入力しても予約できることを「AERA dot.」と毎日新聞が報道した。

当然、ネット上では「ポンコツすぎる」「これだといたずらで予約が埋められてしまうのでは」「こんなのでセキュリティは大丈夫なのか」という声が噴出。さらに、「AERA dot.」の記事では、この予約システムの運営会社と明記されている「マーソ株式会社」について、〈同社の経営顧問には菅首相の盟友、竹中平蔵氏が名を連ねていた〉と報じたことから、〈ここにも竹中平蔵が一枚噛んでるという地獄〉〈癒着と利権まみれのあげく、まともな予約システムひとつ作れない日本。ダサすぎて涙が出るな〉といった声もあがっていた。

「大規模接種センター」に対しては、先進国のなかでも最悪のワクチン接種状況に焦った菅首相による見切り発車が指摘され、自治体実施分との二重予約や「密」が生まれるのではないかなど数々の問題点があがっているが、予約開始初日にシステムの重大な欠陥が発覚し、挙げ句「竹中案件」疑惑まで浮上するとは──。これだけでも菅政権の無能っぷりや腐りきった体質が浮き彫りになったわけだが、さらなる問題はここから。「大規模接種センター」を取り仕切る防衛省の責任者たる岸防衛相が、今朝、こんなツイートをおこなったことだ。

〈今回、朝日新聞出版AERAドット及び毎日新聞の記者が不正な手段により予約を実施した行為は、本来のワクチン接種を希望する65歳以上の方の接種機会を奪い、貴重なワクチンそのものが無駄になりかねない極めて悪質な行為です。〉
〈両社には防衛省から厳重に抗議いたします。〉
〈不正な手段でのワクチン接種の予約は、本当に希望する方の機会を喪失し、ワクチンが無駄になりかねないと同時に、この国難ともいうべき状況で懸命に対応にあたる部隊の士気を下げ、現場の混乱を招くことにも繋がります。〉

なんと岸防衛相は、システムの欠陥を指摘した「AERA dot.」と毎日新聞を非難し、厳重抗議すると逆ギレしたのだ。

自分たちがザルでポンコツのシステムをつくっておいて、その問題を指摘した報道に抗議するって、ふざけるのもいい加減にしろ、という話だろう。

ご存知のとおり、岸防衛相は安倍晋三・前首相の実弟だが、問題をすり替えて「朝日ガー」と逆ギレするのはまさに兄そっくりと言わざるを得ない。

●弟・岸信夫の逆ギレに兄・安倍晋三前首相も乗っかり、ネトウヨ丸出しで朝日・毎日攻撃ツイート

しかも、こんな正当性のかけらもない、スリカエ逆ギレ発言に、ネトウヨ応援団がこれまた安倍政権時代とそっくりに、こんな頭の悪い賛同コメントを投稿している。

〈大臣、偽計業務妨害で告発しましょう〉
〈こういった報道の範疇を超えた妨害、ミスリード、偏見のある報道した場合には何らの罰則を課せられないものなのでしょうかね〉
〈国を挙げて行っている事を妨害するなど問答無用で厳罰に処するべきかと存じます〉
〈日本はワクチン接種が遅いと記事にしておいてこの様な下衆な事をする朝日新聞と毎日新聞をどうか許さないで下さい。ペナルティーは与えるべきです〉
〈きっと模倣犯が出ますよ 厳罰をお願いいたします〉

さらに呆れたのが、兄である安倍前首相本人が、きょう午後5時30分過ぎに、こんなツイートをしたことだ。

〈朝日、毎日は極めて悪質な妨害愉快犯と言える。防衛省の抗議に両社がどう答えるか注目。〉

「どう答えるか」って、すでにネット上では、岸防衛相の逆ギレに非難が殺到しているのに、この兄弟は揃いも揃って、脳みそに蛆でも湧いているのか。

しかし、呆れてばかりもいられない。政権を投げ出してただのネトウヨに戻った安倍前首相はともかく、この岸防衛相の態度は明らかに、報道に対する露骨な弾圧行為だからだ。

まず、岸防衛相は「AERA dot.」と毎日新聞が検証のため予約を入れてみたことが〈不正な手段〉〈悪質な行為〉だというが、試さなければ、欠陥を実証し、問題点を指摘することもできない(ちなみに「AERA dot.」も毎日新聞も、記事のなかで検証のため予約したものはキャンセルしていることを記述している)。

しかも、岸防衛相は〈65歳以上の方の接種機会を奪い、貴重なワクチンそのものが無駄になりかねない〉〈懸命に対応にあたる部隊の士気を下げ〉るなどというが、ワクチンが無駄になりかねない事態を引き起こしたのも、隊員の士気を下げさせたのも、こんな欠陥システムをつくらせた政府であり、見切り発車で予約を開始させた菅首相ではないか。

むしろ、政府が導入したシステムの欠陥をメディアが検証・指摘することは当然の行為であり、公共性・公益性が非常に高いものだ。

実際、岸防衛相は会見でザル状態の予約システムを「真正な情報であることが確認できるように改修する予定だ」と表明したが、報道があったからこそ改修することになったわけで、報道がなければ放置されていたはずだ。

●欠陥の指摘を「悪質」と言う岸信夫に「大規模ワクチン接種センター」は任せられない

にもかかわらず、岸防衛相はワクチンを無駄にしかねないこの重大な欠陥システムについて詫びるどころか、正当な報道をおこなったメディアを名指しで糾弾、抗議したのである。これは報道の自由を踏みにじる非常に危険な発言だ。言語道断を通り越して、民主主義の国の政治家とは思えない。

しかも、この発言から明らかになったのは、岸防衛相がどんな重大な欠陥や問題点があろうと、事なかれ主義で放置しておいたほうがいい、と考えているということだ。まさにこういう政治家こそ、国民の敵と言っていいだろう。

しかも、この予約システムについては、ネット上では新たな問題点を指摘する声もあがっている。こんな男に「大規模ワクチン接種センター」の取り仕切りを任せていて、大丈夫なのか。

国民の命を守るためにも、「報道の自由」を守るためにも、朝日、毎日だけでなくすべてのメディアが岸信夫防衛相の責任を徹底追及する必要がある。
(編集部)

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