オルティス ツインズ解雇からボストンの英雄、殿堂入り有力候補へ

メジャーリーグ公式サイトのニック・アギレラ記者は「最も可能性が低かった2022年の殿堂入り候補者」と題し、低評価を覆して殿堂入り候補の名選手へと上りつめた7人の選手を紹介する特集記事を公開した。そのなかで1位に選ばれたのは、今回の殿堂入り投票において有力候補の1人に挙げられているデービッド・オルティス。トレードの後日指名選手としてマリナーズから放出され、コストカットのためにツインズから解雇されたあと、レッドソックスでブレイクを遂げ、ボストンの英雄、チームの象徴とみなされるようになった。

ドミニカ共和国出身のオルティスは、1992年11月にマリナーズと契約。1996年にはA級ウィスコンシンで打率.322、18本塁打、93打点、OPS.901をマークする活躍を見せたが、マリナーズは同年8月にツインズの正三塁手だったデーブ・ホリンズをトレードで獲得し、オルティスは翌月に後日指名選手としてツインズへ放出された。

ツインズ移籍後もマイナーでは打率3割、30本塁打、100打点を超える好成績をマーク。メジャーでもチームの主砲としての活躍が期待されたが、1997年9月のデビュー後、故障の影響もあって成績は伸び悩み、なかなか完全開花には至らなかった。2000年に自身初の2ケタ本塁打(10本)、2001年に18本塁打、2002年に20本塁打と徐々に数字を伸ばしていたものの、当時のツインズは球団削減候補に挙がるほど財政難に苦しんでおり、2002年の95万ドルから2003年は200万ドル前後に昇給することが予想されていたオルティスとの契約更新を拒否。2002年12月に解雇され、FAとなった。

オルティスはその後、レッドソックスに拾われ、ボストンの英雄への道を歩んでいくことになるわけだが、レッドソックスのフロントオフィスにオルティス獲得を進言したのは、オルティスと同じドミニカ共和国出身のペドロ・マルティネスだったと言われている。当時のセオ・エプスタイン新GMは、正一塁手候補の1人としてオルティスと契約。しかし、メジャー契約は保証されず、「メジャーのロースター入りを果たせば年俸125万ドル」という契約だった。ここから2003年の開幕ロースター入りを果たし、スーパースターへと成長。おそらくツインズ解雇の時点で将来、殿堂入り候補になることを予想できた人は1人もいなかっただろう。アギレラ記者が1位に選んだのも納得だ。

ちなみに、2位はマーク・バーリー(ドラフト38巡目指名)、3位はボビー・アブレイユ(拡張ドラフトでプロテクト外)、4位はジョー・ネイサン(遊撃手としてプロ入り)、5位はアンディ・ペティット(ドラフト22巡目指名)、6位はジェフ・ケント(28歳まで平凡な内野手)、7位はアンドリュー・ジョーンズ(キュラソーが生んだ初めてのスター選手)が選ばれている。

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