〈2021スポーツ名場面回顧・中〉高校野球・関根学園 日本文理と2度激闘 

初めて勝利も、夏は延長で涙

© 株式会社上越タイムス社

 高校野球では関根学園が春季大会で準優勝。その4回戦で日本文理を逆転サヨナラで下し、初めて破った。夏の大会でも対戦し、延長10回の末に敗れ、初の甲子園の夢はついえた。県内屈指の強豪との2度の激闘を振り返る。

 関根学園にとって、日本文理は2014(平成26)年夏の決勝をはじめ、過去何度も阻まれてきた因縁の相手。コーチ陣も全て、現役時代に同校に敗れていた。選手にとっても、指導者にとっても、「打倒文理」は悲願だった。

 5月の春季大会4回戦で激突した。先発・牧野水樹投手(3年)を継いだ滝澤夏央遊撃手(3年)が踏ん張り、1―5の4点差で最終回を迎えた。安川巧塁監督(29)は「大丈夫、ワンチャンスで引っくり返せる。焦らずいこう」と声を掛けていた。

 先頭の田原輝也中堅手(3年)が四球を選び出塁。二死となったが、上位打線がつながり、1点差まで迫った。4番尾身颯太一塁手(3年)は申告敬遠され満塁に。5番大竹直樹捕手(3年)が打席に入った。

春季県大会4回戦、関根学園は九回裏、二死満塁で5番大竹直樹が左中間に逆転サヨナラ打を放つ(5月8日、新潟市鳥屋野球場)

 実は、春季大会前に日本文理と練習試合をやった。通常、大会前に同校と練習試合をすることはないが、コロナ禍で県外校とできないため、組まれた試合だった。そこで、大竹選手がサヨナラ打を放っていた。「この試合も大竹に回せば何とかなる」。ベンチの誰もが思っていた。

 その通り、大竹選手はファウルで粘った後の8球目を左中間にはじき返し、二者を迎え入れた。日本文理を初めて破った瞬間だった。安川監督は「とにかく文理を倒そうと言ってきた。彼らが実現してくれた。(前年秋の北信越大会準決勝で)二死からやられたものを、二死から引っくり返した。なおさら思うものがあってうれしかった」と振り返る。

 その後、北越に8点差を逆転勝ち、新潟明訓に快勝し、決勝に進出。決勝は新潟産大附属に2―3と惜敗し、準優勝だった。

 壁を乗り越えたナインは、甲子園の目標を現実に捉えた。安川監督は「春夏続けて文理に勝てば、周りの見方も変わってくる。新潟県の野球を変えてやるぐらいの思いはあった」と、夏の大会に臨む決意を示した。

 迎えた夏の県大会。大黒柱の滝澤選手を、準々決勝で当たる想定の日本文理戦に先発登板させるプラン。同選手は春季北信越大会で腰を痛め、スイングもノックも十分にできない状態だった。「滝澤の状態は最悪。ただ、使うとしたら試合の最後まで。優勝できなかったらどこで負けても一緒」と覚悟を決めた。同選手を温存したのではなく、何試合も起用できないのが現状だった。4回戦まで一度も使わず、文理戦の先発にぶつけた。

夏の新潟大会準々決勝、関根学園・滝澤夏央投手は腰の痛みを押して10回、132球の気迫の投球を見せた(7月23日、ハードオフ・エコスタジアム新潟)

 試合は五回を終えて2―2。理想的なロースコアの展開となった。六回以降も滝澤投手が踏ん張り、そのまま延長戦にもつれ込んだ。

 十回表の守備、関根学園は一死一塁で、最も警戒していた3番田中晴也(2年)を迎えた。それまで4打席を抑えていたが、初球を左翼線に流され、一塁走者の生還を許した。勝ち越し点を献上し、6番にも2点適時打でダメを押された。「一番マークした選手に打たれ、ダメージは大きく、相手は勢いに乗った」。九回裏に走者を出しながらサヨナラにできなかった場面を指し、「滝澤の状態もあり、九回で終わらせたかった」と話した。

 「周りから今度こそ甲子園に行ってくれという雰囲気が伝わり、私も『上越から甲子園』と言ってきた。ああいう結果になってショックだった」と話し、「3年生やそれまでの先輩方の思いをくんで、1、2年生は新しい関根学園の伝統を築いてほしい。何とか上越から甲子園に。いつまでも新潟、長岡のチームに負けているわけにいかない」と、指揮官は自らに言い聞かせるように話した。

 ◇春季県大会4回戦(5月8日、新潟市鳥屋野球場)

日本文理

202010000 5

001000005× 6

関根学園

 (日)田中―竹野、小檜山

 (関)牧野、滝澤―大竹

 ▽二塁打 玉木、塚野(日)染川、滝澤、大竹(関)

 ◇全国選手権新潟大会準々決勝(7月23日、ハードオフ・エコスタジアム新潟)

日本文理

010010000

001100000

関根学園

       3 5

       0 2

 (延長十回)

 (日)田中―竹野

 (関)滝澤―大竹

 ▽三塁打 土野(日)村上(関)▽二塁打 岩田、田中(日)