宇久、メガソーラー計画 来年度に本体着工へ 1月から防災工事

長崎県佐世保市 宇久島

 長崎県佐世保市宇久島で国内最大規模の太陽光発電所(メガソーラー)を建設する計画を巡り、九電工(福岡市)などが出資する事業者が、大雨対策の調整池などを造る防災工事を来年1月に開始する方針であることが29日、関係者への取材で分かった。2022年度に太陽光パネルを取り付ける本体工事を始める見通し。事業者は20年度に着工するとしていたが、新型コロナウイルスなどの影響で遅れていた。
 計画には京セラ(京都市)なども出資。地権者から土地を有償で借り、150万枚規模の太陽光パネルを設置する。最大出力480メガワット。総投資額約2千億円。売電は当初の予定通り、23年度開始を目指す。
 事業者は12月中旬までに防災工事などに関わる地区で説明会を開催。大雨時に太陽光パネル周辺で雨水や土砂が急激に流出しないようにするため、調整池や柵などを造る考えを示し、1月に作業を始めるとした。
 今後、宇久島と本土を結ぶ送電用の海底ケーブル(全長約64キロ)を敷設する予定。送電時に電流や電圧を調整する施設の工事も1月に開始する。
 一方、ケーブル敷設は県条例に基づく「地元関係者の合意」が必要だが、佐世保市などの漁協組合長は20年に「漁業環境が悪化する」と抗議を表明。事業者は取材に「現時点で解決していない。理解を得られるよう努める」としている。
 地元のNPO法人「宇久島の生活を守る会」(佐々木浄榮会長)も「パネル設置の安全面などで不安がある。島民全体に恩恵はない」と反対している。事業者は説明会を開いて計画への理解を求める考え。島の振興に使う基金(年間3千万円)創設などにも取り組む方針で、「地権者以外にもメリットがある地域活性化策を講じる」としている。
 島内では日本風力開発(東京)も国内有数の風力発電所建設を計画している。


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