シーガー引退 「今季最終戦で野球とお別れすることはわかっていた」

10月3日(現地時間)、ポストシーズン進出の可能性を残していたマリナーズは超満員の本拠地T-モバイル・パークでエンゼルスとの今季最終戦を戦った。試合は序盤から劣勢となり、「4番・三塁」でスタメン出場していたカイル・シーガーは9回表途中に交代。大歓声を浴びながらベンチに退いた。このとき、シーガーがメジャーリーガーとしてプレーする姿を二度と見ることができないと気付いていた者はほとんどいなかったに違いない。しかし、シーガー自身は現役ラストゲームになることを承知のうえで今季最終戦に臨んでいた。

今季限りでの現役引退を表明したシーガーは、地元紙「シアトル・タイムズ」のライアン・ディビッシュ記者の取材に対して「あのとき(=今季最終戦)は自分が野球とお別れすることはわかっていた。もしポストシーズンに進めなかったら、野球をする最後の機会になるとわかっていたんだ。最後の打席、最後の守備機会、最後のイニング。そういう思いが頭のなかにあった」とコメント。「あの日は本当にいろんな感情が渦巻いていた。家族が試合前の始球式に出てきてくれたことは魔法のようだった。あの日はとても早い段階で感情的になってしまったよ」と現役生活最後の日を振り返った。

また、「(2001年を最後にポストシーズンに進めていないという)この状況を打破し、ファンが長いあいだ見ることのできなかったものを手に入れるために、どうしても勝ちたかった」とファンへの想いも語った。引退という考えが最初に頭をよぎったのは今季開幕前だったという。球団オプションが行使される可能性が低いことを理解し、プロ野球選手生活のすべてを過ごしてきたマリナーズでプレーする最後のシーズンになることもわかっていた。「スプリング・トレーニングのころから考えていた。(引退は)簡単な決断だったよ。野球と同じくらい家族のことが大好きだからね」とシーガーは言う。

複数の球団からオファーを受けたシーガーだが、家族のもとに戻るという意思は変わらなかった。「シーズンが終わる前に僕の心は決まっていた。ロックアウトや様々な不確実性は球界にとっていいことではないけれど、それは僕の決断には関係ない。もっと前に引退を決めていた」とロックアウトが引退の決断に影響したことは明確に否定した。家族のために34歳の若さでユニフォームを脱ぐことを決めたシーガー。マリナーズ一筋11年のメジャー生活でシーズン20本塁打以上を9度マークしたが、これはケン・グリフィーJr.と並ぶ球団タイ記録となっている。

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