【コラム】さらに淘汰されるパチンコ業界!生き残る条件とは?(WEB版)/チャーリー・ロドリゲス・湯谷

1. 物価上昇局面を迎える日本
世界では「Withコロナ」を合言葉に経済を回そうと動きが出てきましたが、原油高を発端としたインフレが蔓延し物価も上昇、日本の円安も進み近未来の社会は物価上昇が避けられない状態であります。これはパチンコ業界だけでなく、企業対企業のビジネスでは原材料の高騰は売価に転嫁され取引されますが、消費者向けとなると中々価格に転嫁出来ません。企業はすぐに離反し物が売れなくなる事を恐れるからです。

これを業界のビジネスに例えるなら、今後、遊技機価格はさらに高騰する事が確実で、税別1台50万以上という取引が当たり前になる日は近いでしょう。ところが、その高額な遊技機の射幸が今より上がり「客単価UP」につながる遊技機の登場となるでしょうか?特に6号機のスロット機は射幸面では性能が落ちています。逆に遊技機価格を下げて欲しい、と願うホールが圧倒的と推測しますが、今後はほとんど機械代の回収がままならなくなる、そんなお店が増えるのではないでしょうか?もちろん、社会の物価が上がってもそれ以上に「賃金」が上がり所得も増えて、社会が回る好景気になれば良いのですが、日本全体が「超少子高齢化社会」に突入するのは確実。もう大きな成長は見込めないわけです。

この数年、業界だけでなく企業を取り巻く経営環境はかなり厳しくなる事は間違いなく、ここで「進むべき道=戦略・ビジョン」が曖昧ですと、致命傷になりかねません。十分に今から考え、準備する必要があると考えます。

2. お客様の動向に合わせた店舗運営の実践
多くのホール関係者の方とお話をすると、今後の経営環境の厳しさや、変わっていかないと生き残れないという危機感を強くお持ちです。しかし、いざ、実際に実行している施策は何か?というと「まず静観し、様子を見る」事から始めているようです。これは、メリット・デメリット両方あると思うのですが、今は動かない方が得策という判断なのでしょう。

現在は遊技機撤去期限が迫っている事もあって、ある意味「強制的に機械入替」を行っている為、あえて稼働を犠牲にしても「利益最優先」で夏場から運営しているホールも数多く、恐らく、来年1月末までは全力で「利益最優先」で店舗運営すると推測します。もちろん、大きくお客様が離反する可能性もありますが、そこは商圏内の競合店舗の動きを見ながら「少しだけアドバンテージ」が取れるよう対応しており、色々工夫されています。

この現場の柔軟な動きというのは、組織力や管理者の力量もありますが、一番は経営と現場で、確固としたコンセンサス(同意)が取れているという事です。単純な数値目標だけではない事が容易に理解出来ますし、このフットワークの良さ・クイック対応が、お店のブランディングを高める事にもなります。改めて、店舗間格差は最終最後「人材の力」という事が証明されていると思います。
3. どんなお店にしたいのか?決断の時!
これは前回も述べましたが、多くのパチンコ店は、遊技機入替を中心に営業し成長してきた歴史があります。全てとは言いませんが、遊技機の「性能・射幸」に依存し成長した背景は事実で、今も今後もパチンコ店経営に大きな影響を与える要因です。しかしながら、皮肉にも、その「遊技機入替」が、経営の大きな負担になる可能性は高く、遊技機購入・運用・転売等、慎重に投資判断していかねばなりません。また、一方では、客数UPの為には広告宣伝について、媒体も施策もコストもすべて見直しつつ、「客数を増やす為の投資」を積極的に行わないと、店舗がさらに退化していく事でしょう。

こういった投資判断も、全ては「どんなお店にしたいのか?」「自店は何がしたいのか?」「どんな存在価値あるお店にしたいのか?」といった点を自問自答し、やるべき事を整理しないと、いよいよ来年2月以降は厳しくなっていくはず。今、戦略を決めないともう時間がない、と個人的には考えます。

4. 厳しい競争が待っている!
2022年2月以降のパチンコ市場は、遊技機の全てが「新基準機・6号機」となり、新たな競争ステージに突入する事は以前からも述べている通りです。予想ですが、資金的に余裕あるホールはそこからも変わらない「遊技機入替」と同時に「出玉還元」に投資し、一気にシェアを奪う作戦を打つと想像します。また、スマートパチンコ・パチスロにおいても、資金的に疲弊し切った競合店を尻目に先行して積極投資し、格差を広げる戦略を打つ事でしょう。その時、自店が生き残る最善の条件は何か?どんな手を打つべきか?二の手は考えられるか?等、とにかく今から対策を検討して立ち向かって欲しいと、切に願うところであります。

■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!

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