暮れゆく長崎2021 コロナの波に翻弄 我慢の日々…

2021年も残すところきょう1日。JR長崎駅周辺では「出島メッセ長崎」がオープンするなど再開発が進んだ。来年秋にはいよいよ九州新幹線長崎ルートが部分開業する=30日午後4時21分、長崎市

 新型コロナウイルス禍2年目も人々はその対応に明け暮れた。感染流行の“波”が押し寄せるたびに、飲食店への営業時間短縮要請など、さまざまな制約に耐え忍んだ。ワクチン接種の進展でポストコロナへの“光”が見え始めたかと思いきや、新たな変異株「オミクロン株」の脅威に震える。2021年はきょうで終わる。
 第3波の中での静かな年明けだった。春先の第4波に続き、第5波に襲われた8月には長崎県内初の「まん延防止等重点措置」が長崎、佐世保両市に適用。段階的に進んだワクチン接種の効果で、感染者数は次第に減少し、経済活動にも回復の兆しが出てきた。
 1年遅れの東京五輪・パラリンピックは緊急事態宣言の下、無観客で開催。柔道男子81キロ級の永瀬貴規選手(長崎市出身)とソフトボールの藤田倭選手(佐世保市出身)が金メダルに輝いたのをはじめ、県勢の活躍に沸いた。
 6月。雲仙・普賢岳噴火災害で43人が犠牲となった大火砕流から30年を迎えた。8月の記録的大雨は、雲仙温泉街(雲仙市)を土砂でのみ込み、家族3人の命を奪った。自然災害の恐ろしさと備えをあらためて胸に刻んだ。
 岸田政権が発足した直後の10月の衆院選。長崎1区は国民民主党、2~4区は自民党が議席を守った。立憲民主党も3、4区の新人が比例代表で復活当選を果たし、本県関連の衆院議員は6人となった。
 長崎、佐世保両市のまちづくりは転換期に差し掛かっている。MICE(コンベンション)施設「出島メッセ長崎」が11月、JR長崎駅西口に開業。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)は、県がハウステンボスへの誘致に向け、設置運営事業予定者を選定した。国への区域認定申請という次のステップへ進む。
 22年秋、いよいよ九州新幹線長崎ルートが部分開業する。佐賀県内の未着工区間の整備方針が定まっていないが、交流人口の拡大と観光立県の再興を期す1年になる。


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