【MLB】大谷翔平は「現代野球を再定義した」 目撃者たちの言葉で振り返る二刀流の功績

エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

マドン監督が語った印象的な言葉の数々「彼は別のゲームをプレー」

エンゼルスの大谷翔平投手は、まさに2021年の象徴のひとつだった。打者としてシーズン最終盤まで本塁打王争いを繰り広げ、ア・リーグ3位の46発。投手としても9勝を挙げ、「リアル二刀流」は見る者の心を弾ませた。満票でMVPを獲得したのを始め、オフは受賞ラッシュ。鮮やかすぎた1年を“歴史の目撃者”たちの言葉から振り返る。

年の瀬も、またひとつの栄誉が加わった。28日(日本時間29日)、AP通信による「今年の男性アスリート」に選出。地元紙のLAタイムズは「二刀流のプレーで現代野球を再定義した」と強調した。

今季常に引き合いに出されてきたのは、“野球の神様”と呼ばれるベーブ・ルース。投手として2桁勝利、打者として2桁本塁打という103年ぶりの大記録に注目が集まった。大谷はわずか1勝届かなかったが、同紙は「ここ1世紀における他の誰とも似つかないシーズンを送った」と、その特異さを語る。

最も間近で“衝撃”を見てきたのは、ともにプレーする選手や指揮官。特にエンゼルスのジョー・マドン監督は、言葉の贅を尽くして驚きを表現してきた。「私たちが生涯見たことがなかったことをしている」「彼は別のゲームをプレーしている」「ただただ途方もない、伝説的な年だった。これを再現できるのは1人しかいない」。同紙では、象徴的なコメントを取り上げた。

10月28日(同29日)に選手間投票で選ぶ「プレーヤーズ・チョイス・アワード」で両リーグ年間最優秀選手に選出された際、同僚のマイク・トラウト外野手は「8回や9回投げた翌日にホームランを打つなんてとにかく凄い。歴史的瞬間ばかりだ」と祝福。3度のサイ・ヤング賞を誇るドジャースのマックス・シャーザー投手も「見事なシーズンでした。こんなピッチングとバッティングは誰も見たことがない」と驚きを隠さなかった。

エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

日米で追随する二刀流挑戦に「やっている方としては嬉しい」

大谷は誰もできないことをやった――。希少性を称えられる一方で、未来への道標のような存在にもなった。メジャーではレッドソックスのアレックス・ベルドゥーゴ外野手が「2023年までには間違いなく二刀流に挑戦したい」と表明。日本でも、上原健太投手が「自分と向き合い覚悟を決めました。わずかな可能性だとしても、自分自身を信じて、やってやる精神でいきたいと思います」と宣言した。

当初は懐疑的だった二刀流。大谷自身も、MVP受賞時の会見で「100%歓迎されていたという雰囲気は去年に入ってからなかったので。去年そういうこともありましたけど、自分がここで頑張りたいなと思って、ここに来たので」と語った。自らマウンドとバットで確立した存在。11月に日本記者クラブで会見した際には「受け入れてくれる環境があるだけでも、やっている方としては嬉しい」と感慨深げに語った。

「何世代にも渡って語り継がれる物語」。米老舗メディア「スポーティング・ニュース」がそう表現したように、色あせることのない2021年。ただ、その物語はまだ始まったばかりだというから恐ろしい。来るべき2022年、大谷はどんな姿を見せてくれるのか。世界の視線が注がれている。(Full-Count編集部)

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