2021年のトライシー人気記事ベスト10から旅行トレンドを振り返る アクセス数1位は航空ファン注目の〇〇

2021年も(執筆時点で)あと1日。2020年から引き続き、旅行は新型コロナウイルスに大きく影響される1年になった。TRAICY(トライシー)で最も読まれた10記事から、2021年の旅行トレンドを振り返っていこう。

災害の影響が目立つ1年 地震や大雪、軽石も…

7位 宮城県で震度5強 東北新幹線一部運転見合わせ、仙台空港では滑走路閉鎖

毎年、様々な災害が起こる日本列島だが、今年も様々な災害がおき、交通機関などに影響が出た。2021年2月13日の福島県沖を震源とする地震では最大震度6強を観測。東北新幹線で設備に被害が生じるなど、鉄道網に影響が生じ、在来線の那須塩原〜仙台間でE653系特急型車両を使った臨時快速の運行や、定期航路のない東京/羽田から仙台(ANAJAL)、花巻(JAL)への臨時便を運航した。

今回8位にランクインしたのは、この2月の地震のあとに発生した、3月20日午後6時9分頃の地震の第1報。気象庁が津波注意報を宮城県沖に発表し、東北地方太平洋沖地震でも被害をうけた仙台空港では、乗客らは避難を強いられ、当時仙台空港に向かっていた多くの航空便が目的地変更や引き返しを余儀なくされた。

9位の「富山で観測史上最大の降雪 国道8号線渋滞、県内交通麻痺」は、2021年1月初旬の大雪のニュース。今月も、26日から27日にかけて滋賀県彦根市などで記録的大雪になったほか、北海道エアシステム(HAC)の、SAAB340B型機の定期便ラストフライトや退役記念のチャーターフライトが欠航するなど、航空関係の話題へも影響が出た。なお、大晦日から再び日本各地で積雪が予測されており、最新の気象情報に注意されたい。

気象庁などによれば、2020年から2021年にかけての冬と、2021年から2022年にかけての冬は、ともに、「ラニーニャ現象」が続いたとみられている。ラニーニャ現象は、南米、ペルー沖の海面水温が平年より低くなる現象で、日本を含む世界の気候に影響をもたらすとみられている。日本では「ラニーニャ現象」の年は寒さが厳しくなり、日本海側を中心に大雪になるとされている。

来年にかけても、ラニーニャ現象の影響をうける見込みで、気象庁が発表した3か月予報では、西日本を中心に寒気の影響をうけ、西日本日本海側では降水量も多くなる見込みだとしている。

「Go To トラベル」中止 感染拡大で県境またぐ移動自粛よびかけ

2020年12月頃からの新型コロナウイルス感染拡大をうけて、当初2021年2月1日(チェックアウト分)までであった、「Go To トラベル」の実施が打ち切られた。旅行各社は、中止直後に割引を「後付け」できる施策で需要を開拓しようとしたが、結局2021年内に「Go To」の再開はなかった。

3位 ホテルグランドパレス、6月末で営業終了 休止予定から一転、半世紀の歴史に幕

「Go To トラベル」中止以降、補助によって一時的に息を吹き返していた旅行業界は大きな打撃をうけた。ホテルでは、歴史ある2つのホテルの営業終了のニュースが注目を集めた。なお、霧島国際ホテルは2021年6月からマイステイズによって営業が継続されている。また、ホテルグランドパレスは、三菱地所などとともに跡地に複合ビルを建設する予定

厳冬期の感染の拡大につれ、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域内や、対象地域と対象地域外の行き来を控えることが呼びかけられ、次第に各都道府県境を超えないように呼びかけられた。新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく措置であるものの、この移動の自粛呼びかけはどこまで実効性があったのか疑問である、というのが率直な感想だ。

移動を抑制する動きが急激に広がり、JR西日本は4月、「どこでもきっぷ」などの乗り放題きっぷを発表直後に発売を見合わせを決めるなど、旅行において不透明な動きが広がった(「どこでもきっぷ」は秋に再発売された)。

6位 新幹線乗り放題の「大人の休日倶楽部パス」、2021年度も3回設定 22年3月には特別設定も

そんな都道府県境を超える移動の自粛が呼びかけられている間も、JR東日本・JR北海道の「大人の休日倶楽部」会員向けのきっぷは、例年と同様に設定されることが決まったニュースが7位にランクイン。「どこでもきっぷ」が発売見合わせになった直後とあって、シニア向けのきっぷは通常通りであることに反発した声もあった。

海外旅行"お預け"でどうする? 航空会社と旅行者

4位 人気集めるANAの機内食通販 1か月で約5万食完売、第4弾はきょう発売

海外旅行には隔離が必須となり、コロナ禍以前の気軽な海外旅行が不可能な状態が続いている。この海外旅行"お預け"の状態は、航空会社にとってもつらい状況だ。4位の「人気集めるANAの機内食通販 1か月で約5万食完売、第4弾はきょう発売」は、国際線で提供する機会が少なくなってしまった機内食を通信販売。販売総数はすでに100万食を超え、異例の大ヒットだ。

数量限定で販売したため、そのプレミアム性も相まって大きく話題になった。2020年末に実食したが、味覚が鈍りがちな機内食のため、少し味付けが強めで、ボリュームが単体では物足りないと感じたものの、やはり、国際線の機内食を食べるという非日常が気軽に楽しめるのは嬉しい。JALも追うように機内食の販売をスタート。こちらは家庭用にアレンジしている。両社ともに今後の展開にも期待だ。

5位の「『プラス1,000円でフルフラットシート』を猛アピールも、JALヘビーユーザーから冷ややかな視線のワケ【コラム】」は、ボーイング777型機の一部運用停止と、国際線減便に伴い、国内線で運用が始まったJALのボーイング777-200ER型機、国際線仕様機材の話題。

国際線仕様機材としてビジネスクラスはフルフラットシートの「JAL SKY SUITE Ⅲ」を採用しており、国内線はプラス1,000円でクラスJとして利用できる。国際線ビジネスクラスを、国内線クラスJとしてプラス1,000円で利用できる機会は今までもあったものの、突発的な運用や、成田発着路線などに限られていた。

今回は、クラスJでフルフラットシートを利用できる機会が大幅に拡大。飛行時間の長い東京/羽田〜沖縄/那覇線でも利用できるとあって、緊急事態宣言などがでている時期でもほとんどの便でクラスJは満席が続いた。

現在はボーイング777-200ER型機の運用が減少傾向にあるが、一時期よりは人気も落ち着き、投入されている路線のうち、那覇線では引き続き人気が高いものの、東京/羽田〜札幌/千歳・福岡線では比較的利用しやすくなっているように感じる。

ANAやJALに比べて、苦しい戦いを強いられたのはLCC各社だ。ビジネスモデル上、1便に多くの乗客を載せること、すなわち搭乗率を上げなければ航空機を飛ばすコストとの釣り合いがとれない。このため、国内LCCのジェットスター・ジャパン、ピーチ・アビエーション、スプリング・ジャパンは積極的にセールを展開し続けた。

しかし、県境を超える移動の「自粛」が呼びかけられるなど、需要が低迷。セールで値下げして客を集めたにもかかわらず、その便を運休にせざるを得ない状況が続いた。感染状況が落ち着いたことで、航空需要も戻り、LCC各社も運航便数を回復させているが、今後の感染状況は読めず、不透明な状況は続きそうだ。2021年はLCCのセール情報の配信が多かったが、実はこんな厳しい状況もあったということを知っておきたい。

2位 「Go To」ナシでも観光客殺到 "海外代わり"の沖縄にバブル到来か【コラム】

海外旅行の選択肢が消えた旅行者の行動も変化し、長期間、東京や大阪から遠い場所へ国内旅行をすることも珍しくなくなった。その最たる例は沖縄だ。

沖縄には、長期滞在に向いているリゾートホテルが多く、また1年を通して気候が温暖で、台風などで悪天候でなければ、様々なアクティビティで楽しめる。米軍基地などの影響で、海外に近い雰囲気が流れている場所も。東京や大阪からは2〜3時間ほどかかるが、非日常感を味わうには十分だ。

この記事では主に沖縄本島を触れているが、宮古島や石垣島にも多くの観光客が訪れた。「Go To トラベル」は適用されていないものの、金額をそこまで気にすることなく、日常から離れた旅行をしたいというニーズに合致した結果といえるだろう。10月には、ANAがチャーター便として下地島空港へエアバスA380型機を運航したことも話題になった。

まもなく「ウィズコロナ」3年目を迎えることになるが、しばらく沖縄の人気は続くのではないか。たくさんの観光資源のある沖縄では、楽しみ方は百人百様。訪れる際にはぜひ、自分なりの楽しみ方を見出したい。

トライシー、2021年最も読まれた記事は?

ここまで、10位から2位までの人気記事を、2021年の旅行トレンドを振り返る形で紹介してきた。改めて振り返るとご覧の通り。

10位 ジェットスター、国内線で片道132円のセール開催

栄えある1位は、航空ファン垂涎の…この記事だった。

1位 ブルーインパルス、あす都内で展示飛行 時間は当日発表

2021年は1年延期した東京オリンピック・パラリンピックイヤーだった。残念ながら、感染状況の悪化からほとんどの試合が無観客で開催され、例年のオリンピック・パラリンピックのような、海外から多数の観客が訪れることはなかった。しかし、海外から多くの選手や報道陣が訪れ、空港には、一時的に多くの外国人の姿がみられるようになった。

また、オリンピック・パラリンピック関係者向けの貸切バスが多数運行され、東京で九州の事業者の車両がみられたことも印象的だった。

東京オリンピックと東京パラリンピックの開幕日には、航空自衛隊松島基地所属の曲技飛行隊「ブルーインパルス」が飛行。都内を5色のスモークとともに飛行するとあって、航空ファンはもちろん、2020年に医療従事者へのメッセージを込めて都内を飛行した翌年ということもあり、一般市民からもよく注目され、この記事では飛行経路への興味からアクセスが集中したとみている。

当時、感染者数増加のニュースばかりが話題になっていた中で、空を見上げると見慣れない航空機が、見慣れない展示飛行をしているというだけで、空を見上げて、都会の喧騒と、厳しい現実から離れて空へのロマンを感じることができた一瞬だったと感じる。

新型コロナウイルスに感染しないために、多くの人が細心の注意をはらって感染予防をしていたが、それでも増え続ける感染者数。どうしようもない無力さすら感じていた頃に、ブルーインパルスのニュースや、選手のメダル獲得などの活躍は人々に元気や希望を与えたのではないかと、いつもはあまりスポーツに関心のない筆者ですら感じた。

2022年を見据えて

残念ながら北京で行われる2022年冬季オリンピック・パラリンピックは、すでに海外からの観客を受け入れないことを決めている。オリンピック・パラリンピックが現地で観戦できるようになるのは、早くても2024年のパリ大会からになる。

次の夏季オリンピックの2024年にはこのコロナ禍から解放され、人々が再び自由に行き来することができるようになっているだろうか。変異株の流行状況をみると、まだまだ先を見通せない状況が続いていると言わざるを得ない。

ただ、そんな状況でも、きっとどこかに賢く、旅行を楽しめるヒントはあるはずだ。海外に行かなくても、海外より数十倍楽しいと感じることができる旅行先があるかもしれない。海外旅行へ行くハードルが再び下がり、充実した旅行をするチャンスができるかもしれない。

2022年は新しい「Go To トラベル」がスタートする予定だ。「県民割」や自治体独自の割引など、より充実した国内旅行を行うことができるようなキャンペーンも多数予定されている。時期は不透明だが、現在の変異株「オミクロン株」への対策として引き上げられた検疫体制も、感染状況に応じて緩和することが見込まれるなど、2022年もたくさんのニュースがありそうだ。

読者の皆さんの2022年もよい1年になるように、素敵な話題を届けるため、私たちは発信し続けたいと思う。

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