[箱根駅伝・平均タイムランキング]本命は駒澤と青学か。常に平均タイム順位以上の結果を残している大学は?

日本の正月の風物詩、箱根駅伝が間もなく始まる。第98回目を迎える今回、果たしてどこの大学が優勝するのだろうか? 各チームの平均タイムと前回大会までの傾向を見てみたい。

(文=REAL SPORTS編集部、写真=KyodoNews)

平均タイムでは駒澤大学と青山学院大学が優位に見えるが……

12月10日に箱根駅伝のエントリーメンバーが発表された。各大学の上位10人の10000m平均タイム順から見てみたい。(関東学生連合を除く)

<左から、今大会時の上位10人平均タイム、前回大会時の上位10人平均タイム、前回大会時の上位10人平均タイムの順位>
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1. 駒澤大学 28分24秒65(28分26秒81/1位)
2. 青山学院大学 28分29秒39(28分47秒19/5位)
3. 明治大学 28分31秒18(28分31秒78/2位)
4. 早稲田大学 28分34秒38(28分32秒27/3位)
5. 創価大学 28分35秒81(29分05秒37/12位)
6. 中央大学 28分37秒35(28分38秒65/4位)
7. 順天堂大学 28分37秒50(28分51秒09/6位)
8. 東海大学 28分39秒88(29分05秒50/14位)
9. 國學院大學 28分42秒34(28分56秒65/8位)
10. 東京国際大学 28分47秒73(29分05秒37/12位)
11. 日本体育大学 28分47秒96(28分51秒61/7位)
12. 帝京大学 28分54秒00(29分01秒52/10位)
13. 中央学院大学 28分55秒19(前回不参加)
14. 山梨学院大学 28分56秒86(29分09秒10/17位)
15. 東洋大学 28分59秒58(28分58秒10/9位)
16. 国士舘大学 29分03秒26(29分16秒84/18位)
17. 神奈川大学 29分04秒12(29分05秒72/15位)
18. 法政大学 29分05秒10(29分20秒91/19位)
19. 駿河台大学 29分12秒69(前回不参加)
20. 専修大学 29分32秒84(29分42秒78/20位)
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こうして見ると、やはり駒澤大学と青山学院大学の2校は優勝候補と考えていいだろう。ともに平均タイムは驚異の28分台前半。青山学院大学はエントリー16人全員が28分台のタイムを持つ唯一のチームで、駒澤大学は28分台前半以下のタイムを持つ選手を今大会最多の6人抱えている。

今大会最注目選手の一人、駒澤大学の田澤廉は、27分23秒44という驚異的なタイムを持っているが、前回大会は大八木弘明監督から「もう少し力を出してくれれば……」と厳しい評価をされ、本人も反省の言葉を口にしていた。今季は出雲駅伝、全日本大学駅伝でもその悔しさを晴らすような快走を見せている。今回の箱根駅伝でも田澤がどんな走りを展開できるかが勝負のカギを握るだろう。

また青山学院大学も、エースにまで成長した近藤幸太郎に注目だ。28分10秒50のタイムを持ち、今回の箱根ではエース区間の2区を任されることになりそうだ。また前回大会を故障で外れた岸本大紀も注目だ。前回大会は総合4位に終わった青山学院大学はこの2人の走りが勝負の行方を左右することになりそうだ。

この2強に続いて、明治大学、早稲田大学、創価大学、中央大学、順天堂大学、東海大学が 28分30秒台で並んでいる。エントリー320人中147人が28分台で走り、今や上位争いをする上で必須のタイムとなっているといえるだろう。

とはいえ、トラックで測ったタイムがそのまま箱根路に生かせるわけではないのは事実だ。次のデータを見てみたい。

平均タイム順位は果たして実際どれだけレースに反映されているのか

過去5大会において、上位10人平均タイムの順位と実際の総合順位にどれだけの差があったかを表している。順位の差をそのままポイント化して過去5年分を合算し、参加回数で割っている。各大学がトラックでの平均タイム順位をどれぐらい箱根路に生かせているかの目安になるだろう。
(例:上位10人平均タイムで1位、実際の総合順位で5位だった場合は、<1-5=-4>で-4ポイント。上位10人平均タイムで8位、実際の総合順位で2位だった場合は、<8-2=6>で6ポイントとする)

<上から、今大会の上位10人平均タイム順に並べている。カッコ内は、左から、2021年、2020年、2019年、2018年、2017年大会時の、上位10人平均タイム→実際の総合順位>
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1. 駒澤大学 0.2pt.(1位→1位、4位→8位、4位→4位、16位→12位、10位→9位)
2. 青山学院大学 0.2pt.(5位→4位、1位→1位、1位→2位、2位→1位、1位→1位)
3. 明治大学 -9.0pt.(2位→11位、3位→6位、2位→17位、予選敗退、9位→18位)
4. 早稲田大学 3.0pt.(3位→6位、16位→7位、12位→12位、10位→3位、5位→3位)
5. 創価大学 6.7pt.(13位→2位、12位→9位、予選敗退、予選敗退、18位→12位)
6. 中央大学 -1.5pt.(4位→12位、15位→12位、11位→11位、14位→15位、予選敗退)
7. 順天堂大学 -2.6pt.(6位→7位、6位→14位、7位→8位、5位→11位、7位→4位)
8. 東海大学 0.2pt.(14位→5位、2位→2位、3位→1位、1位→5位、4位→10位)
9. 國學院大學 3.6pt.(8位→9位、14位→3位、16位→7位、17位→14位、12位→16位)
10. 東京国際大学 -1.5pt.(12位→10位、8位→5位、8位→15位、13位→17位、予選敗退)
11. 日本体育大学 -3.4pt.(7位→14位、11位→17位、14位→13位、3位→4位、3位→7位)
12. 帝京大学 2.2pt.(10位→8位、5位→4位、5位→5位、12位→9位、16位→11位)
13. 中央学院大学 0.3pt.(予選敗退、7位→11位、9位→10位、8位→10位、14位→6位)
14. 山梨学院大学 -7.0pt.(17位→19位、予選敗退、19位→21位、9位→18位、2位→17位)
15. 東洋大学 4.0pt.(9位→3位、13位→10位、6位→3位、6位→2位、6位→2位)
16. 国士舘大学 -0.8pt.(18位→18位、19位→19位、21位→18位、19位→19位、13位→20位)
17. 神奈川大学 -1.8pt.(15位→13位、10位→16位、17位→16位、4位→13位、8位→5位)
18. 法政大学 7.6pt.(19位→17位、18位→15位、20位→6位、18位→6位、15位→8位)
19. 駿河台大学 ――(※初出場)
20. 専修大学 0pt.(20位→20位、予選敗退、予選敗退、予選敗退、予選敗退)
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こうして見ると、駒澤大学、青山学院大学は、ほぼ平均タイム順位通りの実力を箱根路でも発揮できていることがよく分かる。早稲田大学、創価大学は平均タイム順位よりも良い成績でフィニッシュすることが多く、逆に明治大学は下の順位に終わることが多いようだ。

戦国時代に突入した箱根駅伝を制するのは?

とはいえ、こうした机上の空論で語れるほど、箱根駅伝は単純なものではない。前回大会、創価大学があれほど健闘すると予想できていた人がどれだけいただろうか。

明治大学は確かに近年期待を裏切る結果に終わったのは、“強さ”に物足りなさがあったからだ。だが今大会は次代のエースとして期待される児玉真輝が急成長を見せ、全日本大学駅伝でも2区で三浦龍司(順天堂大学)に次ぐ区間2位という結果を出した。鈴木聖人、小澤大輝、櫛田佳希、手嶋杏丞といった確かな実力者もそろっている。予選会では2位の中央大学に4分16秒もの差をつける圧倒的な1位となるなど、“強さ”を身に付けつつある明治大学は、今大会こそ上位争いに顔をのぞかせる存在になるかもしれない。

早稲田大学も前回大会こそ平均タイム順位より下回る結果となってしまったが、井川龍人、太田直希、中谷雄飛と27分台のタイムを持つ選手を最多3人擁している。この3人は前回大会、それぞれ1区、2区、3区で期待されたほどの結果を残せず、忸怩(じくじ)たる思いを抱いた。今大会はそのリベンジを狙っているはずだ。

イェゴン・ヴィンセントだけではない強さを見せて出雲駅伝を制した東京国際大学も気になる存在だ。丹所健、山谷昌也は28分台前半のタイムを持ち、“何かやってくれそう”な雰囲気を持っている。東京五輪・3000mSCで日本人初となる7位入賞を果たした三浦龍司を擁する順天堂大学も、全日本大学駅伝で3位という結果を残し自信を深めている。

どこが優勝してもおかしくない。まさしく戦国時代へと突入した感のある箱根駅伝を制するのは、果たして……。

<了>

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