12球団で“過小評価”されている好投手は誰? セイバーメトリクスの指標で分析

日本ハムのドリュー・バーヘイゲン(左)と阪神・高橋遥人【写真:石川加奈子、荒川祐史】

日本ハムのバーヘイゲンは5勝8敗も「tRA」は先発で5番目

野球を客観的に分析する手法の1つとして活用されているセイバーメトリクス。その一つに、守備から独立した投手の失点率を評価する「tRA」がある。与四球、奪三振、被本塁打の3つの項目に、どのような打球を打たれたかを加えて求められる。

投手を守備から独立して評価するという点ではFIPと同一だが、打球の種類にまで踏み込むことで、より詳細に投手の能力を表す指標になっている。ここでは、株式会社DELTAのデータを用いて2021年の成績を分析し、日本のプロ野球界で“過小評価”されている投手をピックアップしてみた。

まずは先発投手から。2021年シーズンに80イニング以上を投げた先発投手で「tRA」が最も優れていたのはオリックスの山本由伸で1.73だった。2021年シーズンは18勝、防御率1.39、206奪三振、勝率.783でこれらのタイトルを全て獲得。シーズンMVPと沢村賞を受賞した右腕が、この指標でも断トツだった。

2位は千賀滉大(ソフトバンク)の2.25で、以下ニック・マルティネス(同)の2.52、上沢直之(日本ハム)の2.90、ドリュー・バーヘイゲン(同)の2.91。セのトップはジョー・ガンケル(阪神)で全体8位の3.01だった。

9月から1軍だった阪神・高橋遥人は7登板ながら1.18の高数値

バーヘイゲンは2021年、20試合96イニングを投げて5勝8敗、防御率3.84。黒星が先行したが、守備から独立した投球内容では球界でも屈指の数値を叩き出している。

では、リリーフなど投球回数が少なかった投手はどうだったか。30イニング以上投げた投手で見ていくと、阪神の高橋遥人投手が1.18でトップだった。

高橋はプロ4年目の2021年、上肢のコンディション不良などで出遅れ、1軍初登板は9月9日。その後は9月25日の巨人戦、10月2日の中日戦で完封勝利を飾るなど7試合49イニングを投げて4勝2敗、55奪三振、防御率1.65の成績を残していた。

2位以下はライデル・マルティネス(中日)の1.30、ロベルト・スアレス(阪神)の1.53、栗林良吏(広島)の1.62、松井裕樹(楽天)の1.67と、各球団のクローザーが続いている。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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