「五つの安全保障」熊本から 県政展望2022・蒲島知事に聞く

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県政の課題や今後の展望などについて語る蒲島郁夫知事

 2022年の県政は新型コロナウイルスの対応、豪雨被災地の復旧復興、球磨川の流域治水と、取り組むべき課題がめじろ押しだ。昨年決まった世界的半導体メーカーの熊本進出を県勢浮揚につなげる知恵も求められる。任期4期目の折り返しを迎える蒲島郁夫知事に、展望や意気込みを聞いた。(文・潮崎知博、内田裕之、高宗亮輔 写真・高見伸)

 -2021年の県政運営を振り返ってどうでしたか。

 「新型コロナは迅速な初動対応を心掛け、感染拡大を最小限に抑えた。球磨川流域の住民が不安視していた堆積土砂は梅雨の出水期までに撤去できたし、熊本地震からの創造的復興も進んだ。世界的半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)が菊陽町進出を決めたことも大きなニュースだった。南関町の養鶏場で発生した鳥インフルエンザは、自衛隊に要請せずに県だけで対応し、殺処分や埋却などの防疫措置を目標時間内に完了できた」

 -22年は知事の任期4期目の後半に入ります。重点政策を聞かせてください。

 「日本経済、感染症、災害、食料、地球環境の『五つの安全保障』に力を入れる。この五つのテーマを、創造的復興の次のステージとして前に進めていく」

 -日本経済、感染症に対する安全保障とは。

 「日本経済の安全保障は、世界的に逼迫[ひっぱく]する半導体の供給体制の一翼を担うという考え方だ。TSMCの進出を契機に、熊本空港周辺地域で半導体関連産業の集積を図る。目指すのは、九州のシリコンアイランドの復活だ」

 「感染症の安全保障は、KMバイオロジクス(熊本市)が開発する新型コロナの不活化ワクチンを後押しする。安全性に優れ、変異株に対応しやすいとされ、国産ワクチンを持たない日本にとって、いわば希望の光だ。21年、菅義偉、岸田文雄両首相に直談判したように、政府に早期承認を強く要望し続ける」

 -新型コロナでは、引き続き感染防止対策も求められます。

 「飲食店への営業時間短縮要請は素早く、制限の解除は慌てずに状況を見極めて判断してきた。今後も『初動は迅速に、解除は慎重に』が原則だ。オミクロン株などによる第6波の到来を想定し、医療体制も強化する。現時点で患者が入院できる県内の病床は814床、宿泊療養する部屋は千室と十分に確保できている」

 -残りの災害、食料、地球環境の安全保障は何に取り組みますか。

 「災害の安全保障は熊本地震や洪水などの経験を教訓に将来の危機に備え、南海トラフ地震を念頭に九州の広域防災拠点としての機能強化も図る。食料の安全保障は農業の担い手を確保し、環境を守りながら日本の食料供給を支える。地球環境の安全保障は『2050年の県内二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロ』の達成に向け、歩みを進める」