九州新幹線長崎ルート 秋に部分開業 地域活性化への起爆剤に  「100年に1度の変革」加速

九州新幹線長崎ルートに導入される列車「かもめ」と再開発が進む長崎駅周辺(写真はコラージュ)

 今秋、九州新幹線長崎ルートが部分開業する。長崎県内の停車駅周辺では再開発が進み、地元関係者は地域活性化への起爆剤として期待に胸を膨らませている。
 博多-長崎(全長143キロ)のうち、武雄温泉-長崎(約66キロ)はフル規格で整備し、特急で慣れ親しんだ呼称を採り入れ「西九州新幹線かもめ」と命名された。ただ、新鳥栖-武雄温泉(約51キロ)は整備方式がまだ決まっておらず、当面は在来線特急を利用。武雄温泉のホーム対面で乗り換える「リレー方式」で“出発”する。
 「陸の玄関口の魅力を高め、まちなかに人が流れていくようなまちづくりを進めている」と長崎市担当者。長崎駅舎は船の帆や波のような屋根をした新幹線ホームの完成が近づき、今年春には高架下に54店舗が入る「長崎街道かもめ市場」がオープンする。周辺でも昨年、MICE(コンベンション)施設や高級ホテルが開業。23年に駅ビル増床も控え「100年に1度の変革」が加速している。
 諫早駅や新大村駅の周辺も、商業ビルやマンションの建設ラッシュが続き、日を追うごとに“まちの顔”が変化。観光客や定住人口の増加につなげる好機として官民で知恵を絞る。

九州新幹線長崎ルート(博多―武雄温泉―長崎)

 JR九州の青柳俊彦社長は「長崎の皆さんと一緒になって、自分たちの手でつくり上げていく」と強調。その上で「駅はあくまで玄関。そこにたくさんお客さんを連れてくるのが私たちの仕事だ。変革の年と位置づける長崎の熱に呼応し、長崎をよりよいものにしていく」と意気込む。
 国土交通省の試算によると、部分開業時、長崎-博多の所要時間は最速約1時間20分となり、現在の特急と比べ30分短縮する。全線フル規格で整備した場合は、半分以下の約51分になる。


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