英保健当局の大規模研究「オミクロン株は入院リスク3分の1に」

 イギリス保健安全保障庁が、現在世界各地で感染拡大の要因とされている新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」についての大規模な研究発表を行った。それによると、総じてワクチンによる発症予防効果は減少しているものの、入院リスクがこれまでの株と比べ低減していることが明らかになった。

発症予防効果は低下 3回目接種でも10週間後に最大50%

 同庁が発表した研究成果は、昨年11月22日から12月26日までの直近1ヵ月間のオミクロン株の感染症例52万8000件強について追跡調査した大規模なもの。オミクロン株に対するワクチンの発症予防効果、感染した場合の重症化リスク(入院リスク)について主に調査した。

 まず発症予防効果については、どのワクチンを接種していても、2回目から20週間後には0−10%程度まで低下していることが分かった。追加の3回目を行っても、接種後1ヵ月までの間は再び高い効果を得られるものの、10週間後には最大でも50%まで低下していた。

入院リスクはデルタ株と比べ大幅減

 他方、入院リスクについては2回目接種直後から24週後まで長期間、72%減と高い効果を維持していたほか、3回目接種の2週間後は88%減にまで効果が再び高まっていた。さらに、デルタ株と比べれば入院リスクは約3分の1に減少しているという。ワクチン接種率が低い小児患者においても、約半分となっていた。

 この研究成果について、同庁のスーザン・ホプキンス主席医療顧問は「今回の分析はこれまで他の調査研究が示してきた兆候と一致するが、重症化リスクに関して結論を出すのは時期尚早だ」としたが、ワクチンの効果が示されたとも見解を示し、国民に対し改めて接種を呼びかけた。

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