<金口木舌>初体験の多い1年に

 最高齢は98歳―。名護市のデイサービス喜福の利用者14人が練習期間わずか2カ月弱で珠算検定に合格した。リハビリや脳トレの一環で週2回、そろばん教室を始めたというが、利用者の生き生きとした姿からはそれ以上のものを感じる

▼「年をとるということは、日々何かを失っていくこと。でも学べば頭の財産が増えていく」と話すのは、米アップルのティム・クックCEOに「世界最高齢のプログラマー」と称された若宮正子さん

▼今年87歳の若宮さんは60歳を過ぎてパソコンを使い始め、82歳でスマートフォン向けアプリを開発した。著書「独学のススメ」では、定年後に頑張らず楽しみながら学び続けるこつを説く

▼「怖がらずに飛び込む」「飽きたらやめちゃえ」。年を重ねると新しいことを始めるのがおっくうになったり、尻込みしたりしてしまう。そんな中年層にも若宮さんの言葉は響く

▼初売り、初日の出、初夢。新たな年の始まりらしく「初」が躍る。今年は年の初めだけでなく、年間通じて「初めて」を経験する1年にしたい。

© 株式会社琉球新報社