【高校野球】2022年の選抜出場32校を大胆予想 激戦区の行方、連覇狙う東海大相模は?

大阪桐蔭・前田悠伍【写真:中戸川知世】

神宮大会枠は大阪桐蔭、花巻東が制した東北や北海道は順当

2022年「第94回選抜高校野球大会」は3月18日から3月30日までの13日間(準々決勝翌日と準決勝翌日の休養日2日を含む)、兵庫県・西宮市の阪神甲子園球場で開催される。出場32校(一般選考28校、21世紀枠3校、神宮大会枠1校)は、1月28日に開かれる選考委員会で決定されるが、ここでは2021年秋季大会の結果などを基に出場校を予想する。

【北海道・1枠】クラーク記念国際

秋季北海道大会を初制覇したクラーク記念国際が選抜初出場を確実にしている。駒大岩見沢高を春8度、夏4度甲子園に導いた佐々木啓司監督の下、左腕の山中麟翔、右腕の辻田旭輝(ともに2年)のダブルエースを軸に頂点に駆け上がった。

【東北・2枠】花巻東(岩手)、聖光学院(福島)

秋季東北大会初優勝の花巻東、準優勝の聖光学院が順当に選出されそう。花巻東は明治神宮大会終了時点で高校通算49本塁打を記録した、身長183センチ、体重117キロの1年生・佐々木麟太郎内野手や、同40本塁打の田代旭捕手(2年)らを擁する強打のチーム。神宮大会では国学院久我山(東京)、高知(高知)を破って4強に進出した。聖光学院は2021年夏の福島大会準々決勝で敗れ、夏の甲子園連続出場が13年で途絶えたが、秋季東北大会では2完投の右腕・佐山未来(2年)の活躍などで4年ぶり選抜に前進した。

関東・東京の最後の枠は混沌、二松学舎大付か東海大相模か…

【関東、東京6枠】国学院久我山(東京)、明秀日立(茨城)、山梨学院(山梨)、浦和学院(埼玉)、木更津総合(千葉)、東海大相模(神奈川)

国学院久我山は、二松学舎大付との秋季東京大会決勝戦で2点を追う9回に成田陸内野手(2年)が走者一掃のサヨナラ二塁打を放って逆転サヨナラ勝ち。37年ぶりの優勝を飾った。明秀日立は秋季関東大会初優勝。エースの猪俣駿太投手(2年)が全3試合に先発し2完投、打線も全て2桁安打を記録した。関東大会準Vの山梨学院は4試合で57安打37得点と強打を誇る。4強の浦和学院は父・森士氏の後を継いだ森大監督が率いる。同じく4強の木更津総合は右腕・越井颯一郎投手(2年)が軸のチームだ。

最後の6枠目は、東京大会準Vの二松学舎大付と、関東大会8強の東海大相模の争いとみる。2021年選抜を制した東海大相模は原俊介新監督の下、神奈川大会を制覇。関東大会では準々決勝で木更津総合に1-4で敗れた。二松学舎大付は好投手の左腕・布施東海(2年)を擁し、東京大会優勝まであと一歩に迫った。2018年以降は東京から2校が選出されていないことや地域性などを考慮すれば、東海大相模がやや優勢か。

【北信越・2枠】敦賀気比(福井)、星稜(石川)

2021年夏の甲子園8強の敦賀気比が秋季北信越大会を2年連続で制した。エースで4番、主将の上加世田頼希投手(2年)は星稜との決勝で11安打されながら完封勝利を飾った。星稜の右腕・マーガード真偉輝キアン投手(2年)は準々決勝、準決勝と2試合連続完投した。林和成監督は2022年3月末での退任が決まっており、出場すれば選抜での指揮が最後となる。

【東海・2枠】日大三島(静岡)、聖隷クリストファー(静岡)

日大三島が初めて秋季東海大会を制し、1984年以来38年ぶりの選抜出場を確実にした。報徳学園で選手、監督として全国制覇を経験し、U-18日本代表も指揮した永田裕治氏が2020年春に監督に就任。3試合全て1回に失点しながら逆転勝ちを収めて頂点に立った。エースで4番の松永陽登投手(2年)は3試合で打率.600、1本塁打10打点に2完投の活躍だった。浜松商、掛川西を率いて甲子園出場経験がある上村敏正監督が指揮する聖隷クリストファーは準々決勝で中京(岐阜)、準決勝で至学館(愛知)をそれぞれ9回に大逆転で破り決勝へ。春夏通じて初の甲子園に大きく近づいた。

近畿6枠目は混戦、21年夏甲子園4強の近江や市和歌山の争いか

【近畿・7枠(一般選考出場枠6+神宮大会枠1)】大阪桐蔭(大阪)、和歌山東(和歌山)、天理(奈良)、金光大阪(大阪)、東洋大姫路(兵庫)、京都国際(京都)、近江(滋賀)

秋季近畿大会を4年ぶりに制した大阪桐蔭は、明治神宮大会でも敦賀気比(福井)、九州国際大付(福岡)、広陵(広島)を撃破し初優勝を飾った。打線は3試合で40安打28得点と活発。松尾汐恩捕手(2年)、海老根優大外野手(2年)はプロ注目の強打者だ。投手も1年生左腕・前田悠伍が3試合15回を投げ、17奪三振3失点の活躍を見せるなど層が厚い。

準優勝の和歌山東は県大会準決勝で、21年夏の甲子園を制した智弁和歌山を5-4で撃破。近畿大会でも右横手投げの麻田一誠投手(2年)らの活躍で決勝まで駆け上がり、春夏通じて初の甲子園切符を確実にした。4強の天理は、戸井零士内野手(2年)、内藤大翔内野手(2年)ら強打の選手が揃う。金光大阪は準々決勝で近江に0-6から大逆転勝ちし、選抜に前進した。

近畿大会8強の京都国際では、21年夏の甲子園4強に大きく貢献した左腕・森下瑠大投手(2年)が健在。近畿大会2試合で計13回を投げ17奪三振無失点だった。東洋大姫路は1回戦で21年夏の甲子園準優勝の智弁学園(奈良)に2-0で勝ち、8強に進んだ。藤田明彦監督は22年3月末日で退任。選抜に出場すれば、最後の指揮を甲子園で執る。大阪桐蔭の優勝による明治神宮大会で増えた最後の1枠は、同じく8強の近江と市和歌山の争いになりそう。21年夏の甲子園4強の近江は準々決勝で金光大阪に6-7で敗退。甲子園で活躍した山田陽翔投手(2年)は野手に専念した。市和歌山はプロ注目の米田天翼投手(2年)を擁する。地域性などを考慮すると、近江が優勢か。

【中国、四国・5枠】広陵(広島)、広島商(広島)、高知(高知)、鳴門(徳島)、岡山学芸館(岡山)

中国大会を制した広陵は明治神宮大会でも準優勝を遂げた。1年生ながら4番を任される真鍋慧内野手は189センチ、89キロと大柄で、神宮大会の準決勝(対花巻東)でアーチを架けた。広島商は粘りの野球が信条。準決勝では倉敷工(岡山)に3点リードされながら8回に一挙7点を挙げて逆転勝ちした。

四国大会を制したのは高知。2021年ドラフト会議で阪神に1位指名された森木大智投手のような絶対的存在はいないが、小刻みな継投で頂点にのぼりつめた。4番の川竹巧真(2年)は右翼、一塁、投手をこなし優勝に貢献した。準優勝の鳴門は準決勝で明徳義塾に延長11回3-2で競り勝った。残る5枠目は中国大会4強の岡山学芸館と四国大会4強の明徳義塾の争いだろう。岡山学芸館は優勝した広陵に4-7と善戦しており、地域性も加味してやや優勢か。

21世紀枠は秋季県大会準Vの大分舞鶴や道大会4強の札幌国際情報など有力か

【九州・4枠】九州国際大付(福岡)、大島(鹿児島)、有田工(佐賀)、長崎日大(長崎)

九州国際大付は秋季九州大会4試合で6本塁打、43得点を挙げて優勝。準々決勝から決勝まで3試合連続2桁得点の破壊力だった。1年生の4番・佐倉侠史朗内野手は182センチ、104キロの巨漢。大阪桐蔭との明治神宮大会準決勝で本塁打を放った。奄美大島にある大島は大分舞鶴(大分)、興南(沖縄)、有田工を破って決勝へ。21世紀枠で出場した2014年大会以来の選抜出場を確実にした。エースの大野稼頭央投手(2年)は最速146キロを誇る。有田工は60年ぶりに九州大会に出場して4強進出。もう1校は長崎日大が有力視されるが、準決勝で九州国際大付に2-12でコールド負けしたことがどう評価されるか。

【21世紀枠・3】札幌国際情報(北海道)、倉吉総合産業(鳥取)、大分舞鶴(大分)

21世紀枠候補校は2021年12月10日に発表され、札幌国際情報(北海道)、只見(福島)、県太田(群馬)、丹生(福井)、相可(三重)、伊吹(滋賀)、倉吉総合産業(鳥取)、高松一(香川)、大分舞鶴(九州)の9校が選出された。ここから3校(東日本と西日本各1校、地域限定なし1校)が決定する。

公立の札幌国際情報は札幌地区トップクラスの進学校で、2021年秋季北海道大会で4強入り。夏の南北海道大会は19、20年に準優勝、21年4強と結果を残している。倉吉総合産は倉吉産と倉吉工が合併して2003年に発足。工業、商業、家庭の3学科が設置され、野球部員も資格取得に励む他、野球普及のために子どもたちと交流を図っている。21年秋季鳥取大会で準優勝し、中国大会にコマを進めた。大分舞鶴は県内屈指の進学校で、2021年は春季県大会優勝、夏の大分大会準優勝。秋季県大会も準優勝で九州大会に進み、1回戦で大島(鹿児島)と激戦を繰り広げ、雨天引き分け再試合に。再試合でも2-3と接戦を演じた。

※9時11分、一部を加筆・修正しました。(Full-Count編集部)

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