信頼できるグルメドラマ!『#居酒屋新幹線』眞島秀和の“ほおばり顔”に悶絶!/竹中直人のNetflix『野武士のグルメ』

「#居酒屋新幹線」©「#居酒屋新幹線」製作委員会・MBS

眞島秀和の“ほおばり顔”に悶絶『#居酒屋新幹線』

松重豊主演『孤独のグルメ』(テレビ東京系:2012年~)を筆頭に、いわゆる“グルメドラマ”が人気を集めて久しく、いまや一ドラマジャンルとしてすっかり市民権を得た感がある。その多くが漫画原作であり、視聴者・読者が自己投影しやすい主人公が刺激や癒やしを求めて、またはライフスタイルとして“食”を楽しむ姿は我々消費者にも親しみやすく、もれなく胃袋を刺激してくるのだから支持されるのも納得だ。

最近ではグルメドラマ内でもジャンルの細分化が進み、激辛料理や粉ものにフォーカスした作品もある。さらに実在する店舗や食品会社とリンクすることで、興味を持った視聴者から直接的な還元が可能である点も見逃せない。とくにパンデミック以降、厳しい状況を強いられている飲食業種やエンタメ業種の双方に経済的な波及効果をもたらす新たな仕組みとしての期待も高まっている。

そんなグルメドラマ最前線の作品であり、意外な盲点を突いてきたのがMBS/TBS「ドラマイズム」で放送中の『#居酒屋新幹線』だ。

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眞島秀和が演じる本作の主人公・高宮進は日帰り出張が多い会社員のため、食事シ-ンは復路の新幹線内という非常に限られたシチュエーションで展開する。「帰りの車内で何を食べよう?」「◯◯といえば◯◯が名物だよな、でも……」と逡巡するスーツ姿の眞島を観るだけでファン垂涎のドラマなのだが、ご当地グルメを通して現地の食材事情や知られざるウンチクもインプットできるという、1話毎の情報量の多さも高ポイントだ。

「#居酒屋新幹線」©「#居酒屋新幹線」製作委員会・MBS

眞島(とあえて呼ばせてもらう)が訪れるのはガチのローカルスポットであり、ゆえに見た目は地味なものが多い。そのリアルさがむしろ信頼と期待感、そして地方出身者にとっては郷愁を誘う効果があり、全編に充満する不思議な癒やし成分の理由でもある。眞島も決して「うーまーいーぞー!」などと口内から妙な光を発するようなリアクションはせず、本ッ当に美味しそうに、満面の笑顔で黙々と食べては飲む。もちろん“食べ飲み合わせ”も考えてのチョイスが徹底していて、このあたりは2000年代初頭に放送された『世にも奇妙な物語』の一遍「夜汽車の男」における大杉漣の名演を思い出す人もいるかも知れない(この「夜汽車の男」は『孤独のグルメ』に繋がる同ジャンルの始祖?でもある)。

「#居酒屋新幹線」©「#居酒屋新幹線」製作委員会・MBS

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基本的に東北地方や北関東など日帰り可能なエリアに限られてはいるが、赴く場所によっても乗車時間が異なるので、メニューも変わってくるところがまたリアル(当然ながら、例えば青森と栃木では所要時間も大きく異なる)。また、乗車中にSNSアカウント<ススム@出張中>でフォロワーたちと交流し、拾いきれなかったグルメ~食材情報を補うという構成も非常にスマート。ネット情報よりも信頼できるのは嗜好を理解し合っているグルメ仲間である、というセオリーを踏むことで最後まで(余計なスポンサー臭のする)ノイズが発生していないところも好感度が高い。

「#居酒屋新幹線」©「#居酒屋新幹線」製作委員会・MBS

眞島がインタビューで「僕も栓抜きとか一味や山椒を巾着に入れて持ち歩いています」と明かしていたように、視聴者が自分の行動範囲なりに真似できるところも本作の大きなウリだ。2022年はひさしぶりに年末年始で実家に帰省したという人も多いと思うが、ぜひ「存在は知っていたけれど手を出していなかった地元グルメや地酒」なんかを列車に持ち込んで、自分だけの「居酒屋新幹線(居酒屋特急◯◯◯?)」を堪能してみてはいかがだろうか。

『#居酒屋新幹線』は2021年12月14日(火)よりMBS/TBSにて放送中、2022年2月5日(土)よりCS「チャンネル銀河」で放送

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竹中直人が噛みしめる定年退職後の美味『野武士のグルメ』

Netflixでいつでもどこでも楽しめる、かつ胃袋が少し弱ってきた世代の皆さんにおすすめしたいグルメドラマが、竹中直人と玉山鉄二が共演する『野武士のグルメ』(2017年)だ。グルメで野武士とはどういうことかと思ってしまうが、まさに「どういうこっちゃ」という構成の不思議グルメドラマの側面もある。

本作の主人公は定年退職したアラカンの香住武(竹中)で、数十年間のサラリーマン生活で心身に染みついた生活リズムがなかなか崩せない男。しかし、今後はいつどこで、何を飲み食いしても許されるのだという開放感を全力で味わうべく、気の赴くままにフラリと食堂に入り、昼からビールを飲んだりする。

Netflixオリジナルシリーズ『野武士のグルメ』独占配信中

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本作は『こどグル』と同じく久住昌之の原作だが、大きく異なるのは主人公の小心者っぷり。どこか世間に対してビクついていて、まったく偉ぶったりしない普通の(しかし現代的には理想的でもある)おじさんだ。そんな香住が「エイヤッ」とばかりに昼間からコッテリ系ラーメン屋に飛び込んだり、食堂でフライものを追加注文してしまったりする姿は共感度が高く、どこか可笑しくもあって不思議と惹き込まれてしまう。もちろん、竹中の「うまそうな食いっぷり」は言わずもがなだ。

そんなオドオド系おじさんの“対極の存在”として登場するのが、玉山演じる(香住にだけ見える)野武士である。香住が戸惑ったり憤りを感じたりすると現れ、竹を割ったような豪快な態度で場の空気をパシッと治める。つまり香住の“理想”を体現する人物であり、定年後も社畜的な態度が変えられない彼を叱咤する存在として、毎回グッとくる名言を残して去っていくのだ。

炭水化物が重く感じる年齢だけに、時には「ご飯少なめで」とオーダーしたりする香住に親近感を覚える世代はもちろん、(物語の中で野武士に叱咤される)若者世代にもオススメな和風ファンタジー的変則グルメドラマである。

『野武士のグルメ』はNetflixで独占配信中

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