「キャンプ」など子どもにさまざまな体験活動を/NPO法人KID‘s work代表・大久保大助さん

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

暮らしの体験からキャンプなど、子どもにさまざまな体験活動を

甲木:おはようございます!西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

横山:西日本新聞社の横山智徳です。

甲木:あの、横山さんって仕事以外に何ができますか?

横山:仕事以外ですか?むしろ仕事以外の方ができます。(笑)

甲木:それもちょっと上司としては困るんですけど。(笑)どんな事ができるんですか?

横山:キャンプができます。DIYができます。

甲木:そう!DIY好きですよね。お家のウッドデッキ作りとか。

横山:はい。本棚も作ったりしますよ。

甲木:今日のゲストと横山さん絶対盛り上がるよね。

横山:多分、1時間あっても終わらない。(笑)

甲木:それでは、本日のゲストをお呼びしましょう。いろんな資格を持ちながら、本業は北九州市でNPO法人KID‘s workの代表を務める大久保大助さんです。よろしくお願いします。

大久保:よろしくお願いします。

甲木:まずは、本業のお話を聞いていきたいと思っているんですが、NPO法人KID‘s workってどんな法人なのかちょっとお聞かせいただけますか?

大久保:一言で言いますと、子どもの体験活動の企画と運営をしています。体験活動といってもいろいろあるんですが、主に生活体験、暮らしの体験みたいなのを重視して、特に小学生を対象にやってます。

甲木:暮らしの体験って具体的には?

大久保:1番わかりやすいのは、古い家を借りてそれを改造して、ちょっと昔の不便な生活の体験ということで、薪でお風呂を沸かしたり羽釜でごはんを炊いたり。そこで子どもたちが学校に通いながら、合宿形式である通学合宿という授業をしています。他には、先ほどお話にも出てきたキャンプなど。今は両方ともコロナでできてないんですけど、夏休みに馬島という離島で4泊5日のキャンプを11年間やっていました。

甲木:NPO法人KID‘s workは、キャンプ以外にもいろんな活動をしていらっしゃるんですよね?

大久保:そうですね。ものを作ったりとか、ご飯を作ったりとか。ダッチオーブンでみんなでパンを作ってみたりとか。あと、防災の活動とかもですね。

甲木:そうなんですね。

大久保:キャンプなどみんなが集まる活動は中止になったんですが、それ以外で、派生する子どもの生活に繋がるような活動、日頃しないような活動というのを広げていこうと。

歩きながらキャンプする「あるきゃん」 3泊4日の55キロの大冒険!

甲木:でも、昨年からコロナの状態なので、キャンプとか合宿できないでしょう?

大久保:そうなんですよ。西日本新聞さんにも取り上げていただいたんですけど、北九州を歩くというキャンプ=あるきゃん(愛称)というものなんですが、3泊4日北九州市内をぐるっと歩いて回るというのをしました。

甲木:その歩いた体験で、何か子どもが変わったなと思う瞬間はありました?

大久保:「おぉ!」と思うエピソードがあって。山登りでちょっと体の大きな子が麓のところまで頑張って歩いていたんですね。皿倉山っていくつか麓から登るルートがあり、国見岩ルートは、住宅地の坂を登って入って行くんですね。そこが結構急な坂なんですよ。国見岩ルートの手前に神社があるんですが、そこに行くまでのたった何百メートルのところを泣きながら遅れて歩いていたんです。子ども9人しかいないんですが、ガンガン遅れてきて泣いていたんですよ。大人が5、6人囲んで登って来て、僕は先頭からその姿を見て、昭和のお父さんみたいに

大久保)「ちょっと来い。なし泣きよるんか?」

子ども)答えずにずっと泣く。

大久保)「何かその涙は?帰るんか?」

子ども)首を横に振る。

大久保)「登る気あるんか?」

子ども)「ある」

大久保)「その涙はきつい涙か?苦しいんか?」

子ども)「苦しい」

大久保)「どうするんか?登るんか?」

子ども)「登る」

大久保)「最後まで行くんか?」

子ども)「行く」

大久保)「よし。そしたら手伝ってやろう」

って話して。大人を呼んで荷物を少し分けて杖を持ってきて、その班の子どもを僕の後ろに付けて。それからは泣かなかったですが、やっぱりきつかったみたいです。一生懸命登っていました。それで、山頂に登って国見岩に来た瞬間、その子が景色の素晴らしさにびっくりしたって。

甲木:良かったですね。泣きながらでも登って、それが見れて。

子どものスイッチが入る瞬間に「やった~!」

大久保:次の日の3日目は、板櫃川を歩くコースで、八幡東区の七条辺りまで下るんですが、一つ狭くて歩きにくいところがあるんですよ。みんなオレンジ色の帽子を被って歩いていたんですが、そこを越える時に誰か消えたんですよ。「あ!落ちた!誰が落ちたんやろ?」って見てみると、その体の大きな子が出てきて。

甲木:例の彼。

大久保:でも、この後すぐ何か切り替わって、めちゃくちゃ元気に歩き出したんですよ。

横山:落ちた子がですね。

大久保:急に元気になって笑うようになったり、他の子に声をかけたり。今まで頑張れって言われてたのに、自分のチームの子に「お前、頑張って歩け」みたいなことを言って。(笑)

甲木・横山:(笑い)

横山:なんかヒーローになったんですね。

大久保:何かスイッチが入ったんですよね。全然きつい顔もせず、楽しそうに歩いてました。ここにその子の感想文があるので読みます。「参加して思ったことは、3日目の山登りがきつかったです。登る前は泣いて『もう無理』って思ったけど、頑張って登ったら綺麗な景色が見れて、登れて良かったなと思いました。3泊4日、グループの友達と一緒に歩いてきつかったけど、楽しかったので、参加して良かったなと思いました。でも、1番びっくりしたのは、水を飲んだらめちゃくちゃ元気になったり、川に落ちたら元気になったことです。」

甲木・横山:(笑い)

大久保:何がスイッチになるか分からないということと、何かが彼の何かを動かす・変えるところを見れたときは嬉しいですね。

横山:僕、昔ボーイスカウトしてたんです。うちの子もしてて。今は、僕は送り出しているんですが、やっぱり親元を離れて1泊キャンプして戻ってきた子は、目がキラキラ輝いてかっこよくなって帰ってくるんですよ。ひと回り大きくなってるんですよ。たった1泊ですよ。

甲木:川に落ちてなくても?(笑)

横山:川に落ちてなくても。(笑)テントで寝てカレーを食べて帰ってきただけでも、やっぱり本人達は大冒険なんですよね。

〇ゲスト:大久保大助さん(NPO法人KID‘s work代表)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)

(西日本新聞社北九州本社)

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