横浜38年ぶり日本一、巨人V9ストップも皆“寅年” 2022年のプロ野球にも波乱が待つ?

過去の「寅年」シーズンを振り返る 今年はどんな“波乱”があるのか…【写真:荒川祐史、福谷佑介】

1974年、中日が巨人の連覇を「9」で止める“大金星”

寅年のプロ野球は「波乱」がキーワードになりそうだ。セ・パ2リーグに分裂した1950年以降、戦後の寅年は過去6回。それぞれどんなシーズンだったか振り返ってみたい。

〇1950年 日本一=毎日オリオンズ(パ)

セ・リーグは大陽ロビンスから改称して1年目の松竹ロビンスが制した。エース真田重男が39勝を挙げ最多勝、チーム179本塁打を記録した強力打線からは小鶴誠が当時の新記録となる51本塁打で本塁打王に輝いた。パ・リーグはこの年新参入の毎日が2位の南海ホークスに15ゲーム差をつける独走劇。阪神から移籍の別当薫が43本塁打105打点で2冠王、MVPに輝いた。投手部門でも新人の荒巻淳が防御率2.06、26勝で2冠。日本シリーズは毎日が4勝2敗で松竹を下し、初の日本一となった。

〇1962年 日本一=東映フライヤーズ(パ)

セは阪神が2リーグ分裂後初となる優勝を果たした。原動力となったのは村山実、小山正明の両エース。村山は25勝、防御率1.20でMVP。小山は27勝、防御率1.66、リーグ最多の270奪三振を記録した。チーム防御率2.03という凄まじい数字が残っている。パは水原茂監督率いる東映が2位の南海に5ゲーム差をつけ初優勝。打線の中心は張本勲で打率.333、31本塁打、99打点、23盗塁という好成績。MVPに輝いた。新人王に浪商高を中退して加入し、20勝を挙げた尾崎行雄。日本シリーズは3勝3敗で迎えた第7戦、延長12回の末に東映が2-1で阪神を下し、日本一となった。

〇1974年 日本一=ロッテオリオンズ(パ)

セは中日が20年ぶりの優勝を果たした。前年までリーグ、日本シリーズを9連覇していた巨人をついに止めたことになる。両チームの優勝争いは熾烈を極め、ゲーム差なし、勝率1厘差という決着だった。巨人の王貞治が打率.332、49本塁打、107打点で3冠王に輝いた。中日では松本幸行が20勝を挙げ最多勝。パは金田正一監督率いるロッテが10年ぶりの優勝。当時は前後期制で、ロッテは前期2位、後期優勝。前期優勝の阪急とのプレーオフを制した。監督の弟、金田留広投手が16勝で最多勝、MVPにも輝いた。日本シリーズはロッテが当時本拠地としていた仙台ではなく後楽園球場と中日球場で行われ、ロッテが4勝2敗で制した。

1998年、横浜は38年ぶりの歓喜に沸いた…24年後の今季は?

〇1986年 日本一=西武ライオンズ(パ)

セは広島が巨人とゲーム差なしという激闘を制し、2年ぶりの優勝を果たした。原動力はリーグで唯一チーム防御率2点台(2.89)を記録した投手陣。北別府学が18勝、防御率2.43、勝率.818を記録し3冠、MVPに選ばれた。パは西武が近鉄との争いを制して2年連続優勝。チームリーダーの石毛宏典がMVPに選出され、投手では渡辺久信が16勝、勝率.727、178奪三振でリーグ1位に。工藤公康も11勝を挙げた。日本シリーズは史上初めて第8戦にもつれ込む激闘となり、西武が4勝3敗1分けで制した。

〇1998年 日本一=横浜ベイスターズ(セ)

セは前年2位の横浜が実に38年ぶりのリーグ優勝を果たした。首位打者の鈴木尚典ら、リーグトップの打率.277、642得点の「マシンガン打線」が機能し、45セーブ、防御率0.64の佐々木主浩がMVPに輝いた。パは西武が前半首位を独走した日本ハムを逆転し優勝。盗塁王の松井稼頭央がMVPに輝いた。西口文也が13勝、148奪三振でそれぞれリーグトップの成績を残した。日本シリーズは横浜が4勝2敗で西武を下し日本一となった。

〇2010年 日本一=千葉ロッテマリーンズ(パ)

セは中日が阪神、巨人との争いを制して2006年以来の優勝。巨人の連覇を3で止めた。チーム打率、得点ともリーグ5位という中で打率.339、37本塁打、93打点と奮闘した和田一浩がMVP。13勝のチェン、12勝の吉見が中心の投手陣は安定感抜群だった。パはソフトバンクが2003年以来の優勝を果たした。17勝でMVPにも輝いた和田毅、16勝の杉内俊哉が投の両輪となったものの、日本シリーズにはシーズン3位のロッテがクライマックスシリーズ(CS)を制して出場。第6戦が延長15回引き分け、第7戦も延長にもつれ込む熱戦の末、ロッテが4勝2敗1分けで制した。

振り返ってみると、寅年には実に最多のリーグ優勝38回を誇る巨人が一度も優勝していないことに気づく。むしろ1974年にV9を止められたり、1986年にもゲーム差なしで優勝できなかったりと、波乱を演出する側に回っている。一方で中日が20年ぶり、横浜に至っては38年ぶりというように、久々の優勝を果たしたチームが目につく。パでもロッテがシーズン3位からの日本一を果たしたのが前回の寅年。今年はどんな“波乱”があるのか、開幕を楽しみに待ちたい。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2