V・ファーレン長崎 DF江川湧清(21)=南島原出身= 先頭に立ち、引っ張りたい 守備の要、自信が確信に

飛躍のシーズンを経て、2022年は「自分が引っ張っていくんだという気持ちでやりたい」と意気込む江川=諫早市サッカー場

 サッカーJ2、V・ファーレン長崎のDF江川湧清(21)=長崎県南島原市出身=がプロ4年目のシーズンに挑む。下部組織から2019年にトップチームに昇格し、20年にプロデビュー。21年は主力の座を勝ち取り、飛躍のシーズンとなった。新たな年を迎えるに当たり「2022年は自分が先頭に立って、チームを引っ張っていく」と決意を新たにしている。以下、一問一答。

 -守備の要として不動の地位を確立した。
 センターバックで試合に出て、ここまで活躍できたのは自信になった。これからのサッカー人生を考える上でも、とても重要な年になったんじゃないかと思う。20年は本職ではないサイドバックで出させてもらった中で試合の経験を積んだが、本職であるセンターバックで勝負したいとずっと考えていた。

 -さらにDFで2得点も記録した。
 いやあ、あれはかなりうれしかったですよ。しかも2ゴールともホームで取ることができて。ゴールってこんなにうれしいんだなあってびっくりしたし、DFでももっともっと点を取りたいって思わせてくれた。

 -飛躍の理由を自身でどう捉えているか。
 センターバックでやれる自信は自分の中でずっとあった。試合に出ることで自信が確信に変わり、落ち着いてプレーできるようになっていった。いろんなFWの選手とマッチアップして「この選手はこういうプレーが好きなんだ」とか。ボールを持つ場面でも、もともと左足の精度に自信はあったけれど、余裕が生まれたり、視野が広がったり。さまざまなバリエーションに対応しながら自分の引き出しも増えた感覚がある。

 -江川選手をはじめ多くの若手が活躍している。だからチームに活気がある。
 僕たち年代がこれだけ活躍すれば年上の選手にいいプレッシャーを与えられる。若い選手はみんな寮生なので、集まってよくしゃべって部屋でゲームをしたり普通の友達みたいな感覚で遊んでいる。加藤聖なんかは年もポジションも近くて、オフのところでも仲良くしているのでピッチ内の信頼もお互いに厚い。

 -年上の選手から学ぶことは。
 サッカーをしていない時間の過ごし方は、本当に大事じゃないかなと感じた。引退した玉田圭司さんの行動を見ていると、本当に無駄がない。休むなら休むでケアをしっかりするし、やるときはやる。中途半端がない。

 -狭き門をくぐってプロになり、出場機会がなくても腐らずに出番を待ち続けてチャンスをつかんだ。
 絶対に自分はやれる、絶対に活躍するんだという強い気持ちが自分を押し上げてくれた。高校でもプロ1年目も大きな故障があって落ち込んだし、目標を見失いそうになった。治ったからといってすぐ試合に出られるものでもない。複雑な気持ちだったが、自分はやれるんだという自信があったからこそ、ここまで強くなれた。

 -V長崎のアカデミー出身でトップチームの試合に出た初めての選手。今後は「成功モデル」として注目される。
 そこは意識してますよ。中学卒業後の進路が実は一番苦戦して。本当に行く場所がなくて。そういうとき、V長崎ユースにいた兄を通じて原田武男さん(U-18監督)に声を掛けてもらった。「ここで絶対に結果を出してプロになる」と思って頑張ってきた。自分が活躍すると下の子の刺激になるだろうし、いい選手がアカデミーに入ってくれるようになる。下部組織のレベルが上がればトップチームに還元される。プレッシャーもモチベーションもある。

 -活躍すれば当然、他クラブからの引き合いも来る。
 地元は好き。落ち着くし、プロになってアウェー戦でいろいろ都会にも行くけれど「ああ、これが都会なんだ」と不思議な感じがする。アウェーから帰ってくると、やっぱりこっちが落ち着く。

 -プロサッカー選手として最も大切にしていることは。
 リスペクトの部分。まだプロ歴が浅いし、長崎だけじゃなくて他チームでやっている多くの人からさまざまなことを吸収させてもらっている。試合中は熱くなってファウルだったり粗いプレーが出る瞬間もあると思うけれど、そのときはリスペクトの気持ちでしっかりと謝って。そういうのは大事にしているつもり。

 -新年の抱負を。
 チームとしては間違いなくJ1昇格。今年こそは達成したい。個人としては、先頭に立って自分が引っ張っていくんだという気持ちでやりたい。今はベテランに対しても物おじせずに言えるようになった。若手が下から押し上げたい。

 【略歴】えがわ・ゆうせい 2000年10月24日、南島原市深江町生まれ。父が監督を務める深江FCジュニアから、中学時代はJFAアカデミー熊本宇城に進み、高校入学時にV長崎U-18へ。19年、下部組織出身として2例目となるトップチーム昇格を果たし、20年にリーグ戦デビュー。175センチ、67キロ。


© 株式会社長崎新聞社