「憧れの場」宝船競りに女性抜てき 横浜・中央卸売市場 「男社会」のイメージに風穴

金港青果が2021年に販売した「宝船」。船型の器に横浜市内産野菜が盛り付けられている(同社提供)

 横浜市中央卸売市場(横浜市神奈川区)で5日、女性競り人が初競りの目玉「宝船」を競売する。抜てきされたのは、同市場で青果の卸売りを手掛ける「金港青果」(同)入社5年目の久保亜祐未さん(27)だ。同社にとって、女性が担当するのは開業以来初めて。「全国の中央卸売市場でも例がないのでは」と話している。

 北海道出身の久保さんは、大学で青果物の流通を専攻。3年生の時、札幌市内の中央卸売市場を見学した際に「目の前で行われた競売に一目ぼれし、自分もやりたいと思った」。見知らぬ土地で、どんな野菜が流通しているのかを知りたいと、同社への入社を希望した。

 「力仕事で男社会」というイメージの業界にあり、就職活動中は「『女性だから』という理由で採用されにくいと感じることも多かった」と久保さん。面接を担当した同社の井関直行常務執行役員(59)は「仕事に対する思いや、やる気を強く感じた」と振り返る。

 2020年に競り人の資格を取得してからは、社内で「主要な位置付け」とされる横浜市内産野菜を担当している。

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