【寄稿】2022年の話(WEB版)/POKKA吉田

2,400枚の話が12月3日から業界巷間で流布されまくっていて話題だが、そういう情報には私よりも専門性のある本紙の鈴木政博さんが書いているかもしれないし書いてないかもしれないが、まだ日電協がアナウンスしているわけではないので私はひとまず触れずにおくとする。

さて、本紙が出ているのはおそらく年末年始かと思う。2021年もいろいろあって業界は相変わらず大変な一年間だった。2022年はどうなるか。少し想定してみたい。

2022年はおそらく「底」から上がっていく回復期に入ると私は予想している。というのも旧規則機の完全撤去は2022年である。実際には県によっては経過措置終了期限が2月以降もあったりする機種もあることから遅くともゴールデンウイーク明けくらいには完全撤去となっているだろう。そこから先は日本全国でこの業界は新規則機だけの市場になっている。

新規則機の市場は2021年までを振り返るとぱちんこが優位でパチスロが苦しい展開という印象がざっくりとはある。特に同年は牙狼、ガンダムユニコーンといった主力機が相次いで登場したことから、久しぶりに全国平均ベースでの台粗利益額について、ぱちんこがパチスロを上回った。傾向としては2020年末から始まっている6号機ジャグラーが好例ではあるが、パチスロの粗利益額を低くしてその分をぱちんこで穴埋めするというような手法を採用する法人が多かったように思う。

ところが2022年はそのようなことをするかどうか、これはまた難しい問題だ。2021年は後半まで釘調整の問題でごたごたしたケースが相次いでおり、釘調整というややこしい問題がないパチスロが法的な地位としてはオペレーション上は優位ということもある。また、すべてが6号機になることが無理だと判断して廃業した店もあるわけだが、完全撤去後にも営業している店は、すべてが6号機になることを受け入れているわけだ。低い粗利益額の理由を「その機種、あるいは店のパチスロ全体の信用をつけるため」というのなら別に構わないのだが、現状で通常営業して飛ばしてしまう不安が理由になっているのであれば、2022年は通常営業で普通に営業できるようになるべき年であることは言うまでもない。このあたりは2022年のパチスロの新機種ラインナップによるので、その点では各メーカーに期待したいところである。
2022年の大きな注目はやはり次世代遊技機(スマートパチンコ、スマートパチスロ)だろう。余暇進の秋季セミナーにて日工組、日電協の両理事長がビデオメッセージを寄せているが、そのビデオで示された最新の次世代機の目標時期は、ぱちんこが8月、パチスロが6月ということになっている。コロナ禍推移がどのようになるか読めず、半導体やハーネスなどの部材調達難がどこまで解消されているかによってもかわるかもしれないが、明らかに新しいカテゴリの遊技機が登場するということは、とても大きな話である。ぱちんこは玉に触れることがない封入されたものであるし、パチスロはメダルそのものがない。コロナ禍では接触感染がほとんどないとは言われつつもホール営業においては接触感染を出さないように台の消毒を徹底してきた。玉もメダルも触れることもないという次世代遊技機は、感染症予防の観点からも優位には違いない。

また、規制緩和が進む年になると予想している。本稿執筆時点でも既にぱちんこ、パチスロに規制緩和の話があることがわかっているのだが、まだいずれも公式発表前なので本稿で触れることはしないが、年末あるいは年始にも日工組、日電協が発表する公算が高くなっている。さらには、それ以外についても規制緩和についての進行中の話がいくつもあって、それらもいくつかは認められると予想される。さらには次世代遊技機だが、既存機とまったく同じだったらホールが買う意欲が減退するのは自明なので、こちらも緩和的な話がセットとなる。こういった規制緩和については、警察庁も「射幸性の拡大にならない範囲」で積極的に容認する姿勢を明らかにしており、日工組も日電協も射幸性拡大にならないような警察庁にとって安心できるような規制を新設するかわりに他の部分での自由度を高めるというような進め方をしている話も多い。この辺は出てくるたびに規制緩和となりそうなので、いつ頃何が決まるかは今なんとも言えないが、期待しておきたいところだ。
あとは新規則施行から5年目に突入するということで、そろそろこの規則の問題点そのものを直接洗い出して見直すという作業も業界の水面下ではやっていくべき課題として出ているかと思う。そもそも依存対策のための規制強化というか射幸性規制強化だったわけだが、考えるまでもなく射幸性規制強化で依存対策になるというはずもないのだから、規則改正そのものの間違いをそろそろ共有していくべきだろう。もちろん既に施行されている規則は法令には違いないのでそれを守るのは大前提になるが、次の規則改正までひょっとしたら折り返し地点に来ているかもしれない時期にもなってくるため、警察庁内で規則改正の検討・協議が始まる前に業界側が「このような規則内容を」ということを提示できるようになってこそ、政治力も生きてくるというものだろう。

その政治だが、2022年は参議院選挙がある。2019年の参議院選挙のように特定候補者を21世紀会で応援するということになるかならないかはまだわからない部分もあるが、2019年の参議院選挙への向き合い方を業界が決めたのは1月の21世紀会でのことだった。2022年も21世紀会はあるだろうからここで何かしら具体的な話が浮上するかもしれないので、その点は注目しておきたい。もちろん、業界挙げて特定候補者を応援するという流れになれば、2019年と同様に私もその流れを全力で応援するつもりである。

しかしなんといってもコロナ禍で人々のライフスタイルが大きく変わったことの影響がいろんな分野にまだまだ影響している。コロナ禍推移がどうなるか、2022年で最も大切なことはやはりこれだろう。そもそも部材不足もコロナ禍が原因だったと言える。世界的なリモートワーク需要急増+外出規制で自動車需要減退で半導体の多くがリモート関係に供給され、自動車需要回復となってもリモート需要が減らず、そして今に至っているわけだ。また、原油高の影響もあって輸送コストもものすごく高騰しているわけだが、これもコロナ禍と無関係とまでは言えない。

結局のところ、2022年は日本が、世界が、そして我々ぱちんこ業界がコロナ禍とどのように向き合うのか、というのが一番重要になる。3回目のワクチン、飲み薬、いろんな話があってなんとか各国政府もコロナ禍を鎮静化させようとしている。人類を悩ませたこのウィルスも都合3年目である。そろそろ克服していい時期でもあることから、2022年にコロナ禍終了、となるようなシナリオを是非、私は見てみたい。それが業界にとってもおそらく良いことには違いないからだ。

とまれ、2022年もよろしくお願いします。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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