長崎県内自治体 仕事始め 変化をチャンスに前進 長崎市長 IR、石木ダム ヤマ場 佐世保市長

新年の訓示をする田上市長=長崎市議会議場

 長崎県内自治体は4日、仕事始めを迎えた。各首長は職員らを前に、新型コロナウイルスの新変異株に警戒感を示しつつ、まちづくりや住民サービス向上、災害や環境問題の対策などを着実に進めるよう訓示。今秋には九州新幹線長崎ルートが部分開業することから、沿線自治体は交流活性化にも期待を込めた。
 「100年に一度のまちづくり」が進む長崎市は、新幹線やあぐりの丘全天候型子ども遊戯施設の開業、新市庁舎完成の日が近づく。田上富久市長は「住む人も訪れる人も幸せを感じるまちを実現する」と抱負。デジタル化や脱炭素化、多様性推進など「あらゆる変化がすごいスピードで進む。脅威ではなくチャンスと捉え、未来を切り開く前進の1年に」と誓った。
 佐世保市は市制施行120周年を迎える。朝長則男市長はそれを念頭に「安心安全なまちに住んでいただけるよう、市役所一丸となってまい進したい」と決意。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致にも意欲を示し、利水のため東彼川棚町に計画する石木ダム建設については「今年さらに大きなヤマ場を迎えるのでは。県と一体になって進める」と述べた。

職員の前で訓示する朝長市長(左)=佐世保市役所

 今年の干支(えと)を意識したあいさつを披露したのは、大村市の園田裕史市長。「寅(とら)」がデザインされたネクタイを着用し「今年は市制施行80周年、ボートレース大村開設70周年、九州新幹線長崎ルートの部分開業と節目の年になる。寅年だけに、行政も市民も新しいことにトライする1年に」と決意を新たにした。
 新幹線開業については、諫早市の大久保潔重市長も「玄関口としての諫早駅(周辺)をしっかり整備し、多くの皆さんに来ていただける状況をつくっていく」と意気込んだ。
 雲仙市の金澤秀三郎市長は、昨年8月に雲仙温泉街で発生した大雨土砂災害からの復旧復興に向け「越えて、より先へ」を今年のテーマに据えた。「課題克服にとどまらず、より高みを目指すため失敗を恐れず積極的に挑戦し続けて」と職員に訓示した。
 環境対策への言及も相次いだ。対馬市の比田勝尚喜市長は「世界的な取り組みのSDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素社会実現に向けた実行計画が遅れてはならない」と強調。西海市の杉澤泰彦市長は、江島沖への洋上風力発電所誘致や、松島火力発電所の高効率化を挙げ「先進地としてのモデル地区指定に取り組む」。壱岐市の白川博一市長も「洋上風力発電の導入可能性を検討し、漁業関係者や市民への周知・啓発に取り組む」と述べた。
 五島市の野口市太郎市長は、秋に放映開始予定で五島が舞台のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」などを挙げ「追い風。取り組んできたことが一斉に花を咲かせる年に」と期待を込める。松浦市の友田吉泰市長は「視点を変え、松浦の伸びしろを見つけて伸ばしていこう」。平戸市の黒田成彦市長は「職員がワンチームとしてスクラム力を発揮し、目的達成のため奮闘努力を期待する」と職員を激励した。
 新型コロナ対策は引き続き懸案だ。島原市の古川隆三郎市長は「コロナと上手に付き合うウィズコロナ・アフターコロナのまちをつくる」。南島原市の松本政博市長も「アフターコロナを見据え持続可能な社会の基盤を固める1年」と位置付けた。


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