「笹振り神楽」豊作願い奉納 高千穂神社で猪掛祭

神前にイノシシを供え、笹振り神楽で鬼八の魂を鎮めた猪掛祭

 高千穂町・高千穂神社(後藤俊彦宮司)で5日、鬼の鬼八の魂を鎮め今年の豊作を願う伝統神事「猪掛(ししかけ)祭」があった。氏子ら関係者約30人が参列し、高千穂神楽の原型といわれる「笹振り神楽」を奉納した。
 町内3カ所の鬼八塚に供物をささげた後、神社拝殿で神事を行った。神前には鬼八の好物とされ、同町上野地区で捕れた約50キロのイノシシ1頭と新穀を供え、神職や参列者が1人ずつ順番に笹振り神楽を奉納。両手に持った笹を左右に大きく振り、全員で「しのべやたんがん さありやさそうまあどかや ささふりたちばな」と、鬼八眠らせ歌を歌った。
 同神社によると、猪掛祭の起源は鎌倉時代にさかのぼるとされ、毎年旧暦の12月3日に実施。祭神であるミケヌノミコトが鬼八を退治後、霜による農作物への被害が相次いだため、たたりを鎮めて秋の五穀豊穣(ほうじょう)を祈願しようと始まったとされる。

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