2019年以来のダカールラリー優勝を目指すトヨタ、3日目終了時点でアル-アティヤが総合首位

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)が参戦しているダカールラリー2022が1月1日(土)に開幕した。連日競技が行われるなか、4日(火)のステージ3を終えた時点では同チームのエース、ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組(GRダカールハイラックスT1+)が後続車に37分40秒の差をつけて総合首位に立っている。

 TGRは2020年、21年に続きサウジアラビアで開催されている今季のダカールラリーに向け、新規開発した『GRダカールハイラックスT1+』を投入。アル-アティヤ組とジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組、シャミア・バリアワ/ダニー・スタッセン組、ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組という計4台体制で2019年以来、3年ぶりの総合優勝を目指している。

 2021年大会は5つのステージを制しながら惜しくも2位となったアル-アティヤは、1日(土)に行われた“プロローグステージ”で最速タイムを記録すると、翌2日(日)から始まったラリーのオープニングステージ“ステージ1B”で連続ベストをマークし、競技初日から総合首位に立った。

 チームメイトのド・ヴィリエールもベテランらしい着実な走りでこのステージを7番手で走破した一方、バリアワは終盤の通過ポイントを見逃し、引き返したためにタイムをロス。これが響き総合22番手となった。また、ラテガンはステージ序盤に行ったタイヤ交換後、ハブボルト破損によるホイール脱落というトラブルに見舞われ3時間を失い、総合57番手で競技初日を終えることとなった。

 3日(月)のステージ2はハイルからアル・アルタウィヤへ向かうルートだったものの、ビバーク地が雨で水没した影響でフィニッシュ地点がアル・カイシュマに変更されることに。しかし競技区間に変更はなく、総合首位でこのステージを迎えたアル-アティヤはパンクに見舞われながらもタイムロスを最小限に抑え、ライバルから3分28秒差のステージ2番手でフィニッシュ。首位の座を守ってみせた。

 僚友ド・ヴィリエールはトップと11分差の8番手でステージ2を走破し、総合では4番手に浮上する。ステージ1Bで大きく遅れたラテガンも7番手と好走を見せ、総合38番手へとポジションアップを果たした。その一方でバリアワはセンサートラブルで本来のパワーが発揮できず、30分以上タイムを失いステージ28番手に終わった。

 なおこの日、ド・ヴィリエールに対して、彼が前日のステージ1Bで二輪部門の競技者と接触する事故を起こした際に、ライダーの安否確認を怠ったことを理由とする5分のタイムペナルティが科された。また、ド・ヴィリエールについてはステージ2でも別のライダーとのアクシデントあったとの報告が上がっており審議の対象となっている。

ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組(#207 GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022
ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組(#201 GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022

■首位快走のアル-アティヤ「クリーンで着実に走り抜くことに集中した」

 4日(火)のステージ3は、前日のルート修正にともないアル・カイシュマを起点/終点とするループステージへと変更され、競技区間も255kmに短縮された。大きな砂丘越えの続くコースが参加者たちを苦しめるなか、ラテガンがこのステージ3で完璧な走りを披露。ステージを制したカルロス・サインツ(チーム・アウディスポーツ)と38秒差のステージ2番手でフィニッシュしてみせた。

 一方、首位を行くアル-アティヤは、優勝を争うライバルのアクシデントを確認した後にペースをコントロールし、ステージトップタイムから5分遅れの8番手でフィニッシュした。総合2番手につけているセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム)がトラブルで遅れたため、彼と元WRC9連覇王者とのタイムギャップは37分40秒へと拡がっている。ペナルティを受けたド・ヴィリエールも同ステージを7番手で走破し総合4番手をキープ。前日に苦戦を強いられたバリアワは着実な走りでステージ19番手でフィニッシュし、ステージ4に向けて2分ごとの好位置スタートを確保した。

 5日(水)に行われるステージ4は競技区間465km、リエゾン(移動区間)を含む総走行距離は700kmを超える今大会最長のステージだ。このステージ4でラリーは首都リヤドへ向かい、到着後は同地を起点にした2回のループステージが行われたのち、8日(土)の休息日を迎えることになる。

 チーム代表を務めるグリン・ホール氏を含むTGRメンバーのステージ3終了時のコメントは以下のとおりだ。

●チーム代表 グリン・ホール

「ステージ3は我々全員にとってとても良いステージだった。ヘンク(・ラテガン)とブレット(・カミングス)の、ステージの大半をリードして2番手フィニッシュという結果は誇るべきものだ」

「ナッサー(・アル-アティヤ)とマシュー(・ボーメル)はペースをコントロールしてやるべきことを果たした。同様に、ジニエル(・ド・ヴィリエール)とデニス(・マーフィ)も力強い走りを見せてくれて、総合4番手の位置を着実に守っている」

「そして最後に、シャミア(・バイアワ)とダニー(・スタッセン)も、ステージ2での苦戦にもかかわらず今日はクリーンな走りだった。彼らは多くの車両をかわしながらの走行だったが、見事ステージトップ20フィニッシュを果たした。これで彼らもステージ4は好条件でスタートできるので、明日も間違いなく良い1日になるだろう」

●ナッサー・アル-アティヤ

「今日も良いステージで、(総合2番手の)セバスチャン(・ローブ/BRX)との差を広げることができた。40km地点で彼を見かけたとき、トラブルに見舞われていることが分かった。それで戦略を若干変更し、今日はクリーンで着実に走り抜くことに集中したんだ」

「明日も好位置からのスタートなので良い1日になってくれると思うが、今大会最長のステージなので、安心はできない」

●ジニエル・ド・ヴィリエール

「今日はクリーンで良いステージだった。非常に速い場所や、とても素晴らしい砂丘越えも何度かあった。トリッキーな場所も何カ所かあったが、総じて高速で楽しめるステージだったよ」

「今日のパフォーマンスには満足している。しかし、それ以上に素晴らしいパフォーマンスを見せたヘンクとブレットを祝福したいと思う」

●ヘンク・ラテガン

「僕たちにとって今日は本当に素晴らしいステージだった。とくに競技区間の序盤はスムーズで流れるような高速区間で最高だったよ。この最初の区間は快適で、自信を持って走ることができ、本当に楽しめたんだ」

「さらにもうちょっと攻められたかもしれないが、後半は非常にトリッキーな砂丘区間が現れたこともあり、少し抑えて走ることにした。経験豊富なベテランのように自信を持って攻めることはできなかったが、この判断で着実にステージを走り抜くことができたし、明日も攻めていくよ」

「我々は2番手からスタートしなくてはならないので、明日は非常に長く、トリッキーな1日になりそうだ」

●シャミア・バリアワ

「昨日のトラブルのあと、僕たちは総合69番手か70番手あたりからのスタートとなってしまった。とにかく総合よりもステージでの順位を上げることに集中し、全力を尽くしたよ」

「多くの車両をパスし、19番手でフィニッシュできたことはうれしい。明日はまた速いライバル達と走ることになるので、もっと良い走りができるだろう」

シャミア・バリアワ/ダニー・スタッセン組(#233 GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022
ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組(#225 GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022

■ダカールラリー2022:ステージ3終了時点の総合結果

Pos. Driver&Co-Driver Gap

総合首位 #201 ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル -

総合4番手 #207 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ 45’22

総合25番手 #233 シャミア・バリアワ/ダニー・スタッセン 2h16’22

総合38番手 #225 ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス 3h26’06

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