ラミレス氏が中日“Aクラス”確信「非常に面白い存在」 鍵は本拠地での戦い方

前DeNA監督のアレックス・ラミレス氏【写真:荒川祐史】

投手力を絶賛「昨年を見ればリーグナンバーワン」

前DeNA監督で、5年間で3度のAクラスに導いたアレックス・ラミレス氏が「Full-Count」のインタビューに応じた。球春到来まで1か月を切り、2022年のプロ野球を見渡したラミレス氏が「優勝から遠いチームではない。間違いなくAクラスに入ってくる」と太鼓判を押したチームは、昨季借金16を抱えて5位に沈んだ中日だった。

「ドラゴンズは非常に面白い存在になると思います」。2020年限りで監督生活を終え、DeNAを退団。昨年は外から野球を見たことで、監督として対峙した相手チームとしての印象だけでなく、広い視点も加わった。そんなラミレス氏が力強く言い切った。

まず理由に挙げたのは「しっかりとした守護神と捕手がいる」という大きな柱の存在だ。R・マルティネスは昨季49試合の登板で23セーブ、防御率2.06も、2020年は防御率1.13という安定感だった。捕手では木下拓哉が123試合出場と正捕手の座を掴んだ。

また投手陣も「昨年を見ればリーグナンバーワン」と分析。最優秀防御率に輝いた柳裕也、防御率リーグ3位の大野雄大、同6位の小笠原慎之介ら屈指の先発陣もいる。中継ぎでは又吉克樹がFAでソフトバンクに移籍したが「セットアッパーも左投手もいるので大丈夫かなと思う」と投手力を絶賛した。

野手については、昨年137試合の出場で打率.259、5本塁打39打点だった高橋周平を気に掛けながらも「昨年はあまり良くなかったですけど、立浪監督が就任したことによって以前の打撃を取り戻すと見ています」と期待。チーム打率と本塁打数がリーグワーストだったため「ビシエド以外に本塁打を打ってくれる外国人のパワーヒッターがもう1人いれば大きい」と指摘したが「でもバンテリンドームで戦っているので」と問題視することはなかった。

中日・立浪和義新監督【写真:小西亮】

打てないバンテリンドーム…「シングルヒット1本で御の字」

ラミレス氏が中日を推す理由。もう一つは本拠地での強さにある。バンテリンドームで昨季、33勝27敗11分けと6つの貯金を作った。「どのチームも名古屋では結果を出せず苦戦するので、ビジターで5割をキープして、ホームで貯金を積めば上位に食い込むでしょう」と話した通り、ヤクルトと広島こそ1つ貯金を作ったものの、阪神とDeNAは1つ負け越し、巨人は3つもの借金を喫した。

バンテリンドームではどのチームも打線が振るわない。自身の現役時代を思い出しながら、ラミレス氏は「名古屋は打者にとって一番打ちにくいところなんだ」と苦笑いを浮かべた。マウンドが高いため「シンカーやツーシーム、スライダーが曲がりやすい。左投手はチェンジアップが凄く落ちて活躍する。さらに球場が大きいから、なかなか落ちる球を本塁打にできない」と嘆き節だ。当時の気持ちを「名古屋ではシングルヒット1本でも3打数1安打なら御の字。東京ドームでの対戦を待とう、と切り替えていたよ」と振り返った。

他球団が結果を出すことが難しいバンテリンドームで「木下がその配球を分かっている」と“地の利”を生かして昨季は貯金を築いた中日。今季も本拠地で確実に白星を拾っていけば、上位進出も見えてくるということだ。

立浪和義監督が就任し、新生中日は2011年以来の優勝を目指す。昨季はヤクルトが2年連続最下位からのリーグ制覇とセ・リーグは波乱だった。ラミレス氏がAクラス入りだけでなく、優勝戦線に食い込む可能性をも口にしたように、2022年は中日が“台風の目”となるかもしれない。

【動画】ラミレス氏の予想は当たる? パベストナインはほぼ的中させた

【動画】ラミレス氏の予想は当たる? パベストナインはほぼ的中させた signature

(町田利衣 / Rie Machida)

© 株式会社Creative2