各ポジションの通算最高WAR選手 捕手とDH以外は全員が100以上

メジャーリーグ公式サイトのトーマス・ハリガン記者は、各ポジションの通算最高WAR選手を紹介する特集記事を公開した(ここで扱うWARはデータサイト「ベースボール・リファレンス」版)。捕手1位のジョニー・ベンチ(75.1)と指名打者1位のエドガー・マルティネス(68.4)を除くと、全員が100以上の通算WARを記録している豪華なメンバーだ。歴代トップの選手とともに現役トップの選手も紹介されているが、残念ながら各ポジションの歴代トップの数字を更新しそうな選手は見当たらない。

今回の特集にあたり、そのポジションで通算出場試合数の3分の2以上に出場した選手が対象となっている。外野手に関しては、ポジションにかかわらず通算出場試合数の3分の2以上に外野手として出場した選手が対象となり、最も出場試合数が多いポジションに割り振られている。

各ポジションの通算最高WAR選手は以下の通り。

捕手:ジョニー・ベンチ(75.1)
一塁手:ルー・ゲーリッグ(113.7)
二塁手:ロジャース・ホーンスビー(127.3)
三塁手:マイク・シュミット(106.9)
遊撃手:ホーナス・ワグナー(130.8)
左翼手:バリー・ボンズ(162.7)
中堅手:ウィリー・メイズ(156.1)
右翼手:ベーブ・ルース(182.5)
指名打者:エドガー・マルティネス(68.4)
投手:ウォルター・ジョンソン(164.8)

一方、現役トップの選手は以下の通り。

捕手:ヤディアー・モリーナ(42.1)
一塁手:アルバート・プーホルス(99.6)
二塁手:ロビンソン・カノー(69.6)
三塁手:エバン・ロンゴリア(57.4)
遊撃手:アンドレルトン・シモンズ(37.3)
左翼手:ブレット・ガードナー(44.3)
中堅手:マイク・トラウト(76.1)
右翼手:ムーキー・ベッツ(50.0)
指名打者:大谷翔平(10.2)
投手:ザック・グレインキー(73.1)

歴代トップに最も近い位置にいるのは一塁のプーホルスだが、2017年以降の6シーズンの合計WARは-1.9。一時は100を超えていた通算WARも99.6まで下がってしまった。残り少ないキャリアでゲーリッグ(113.7)に追いつくのは困難だろう。

メジャー最初の10年間で72.5という驚異的なペースでWARを積み上げていたトラウトは、28歳のシーズン(2020年)に1.8、29歳のシーズン(2021年)も1.8と大幅にペースダウン。新型コロナウイルスのパンデミックによるシーズン短縮と故障による長期離脱が大きく響いている。30代に突入し、守備走塁面に陰りが見え始めていることを考えると、メイズ(156.1)に追いつくのは難しいと思われる。

指名打者の現役トップは大谷だが、この数字には投手として記録したWARは含まれていない。そもそもメジャーで3年以上プレーしている現役選手で指名打者として通算出場試合数の3分の2以上に出場している選手が大谷のほかにヨーダン・アルバレスしかおらず、指名打者部門に関しては「現役トップ」という括りはあまり意味を持たないかもしれない。

球史に残るレジェンドばかりが並ぶ各ポジションの通算最高WAR選手だが、今後このメンバーの顔ぶれが入れ替わることはあるのだろうか。

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