TCRヨーロッパが全7戦14ヒートの2022年暫定カレンダー発表。予選ポイント刷新にクムホも採用

 欧州圏内最高峰のTCRリージョン選手権に位置付けられるTCRヨーロッパ・シリーズが、2022年の暫定カレンダーを公開。新たにドイツ・ノリスリンク戦を加えた全7戦14ヒートのスケジュールがアナウンスされた。これにより3つのイベントでDTMドイツ・ツーリングカー選手権との併催イベント化が実現し、残る週末はヨーロッパ各国を転戦するGT3のプロ・アマ戦“インターナショナルGTオープン”との共同開催が予定されている。

 また、シリーズは2022年を前に予選のスコアリングシステムを改訂するほか、同じく南米大陸の地域選手権であるTCRサウスアメリカ・シリーズの2022年チャンピオンに対し、プライズとしてTCRヨーロッパへの1戦限定出場枠を用意。また、ワンメイクタイヤ供給サプライヤーを従来のハンコックから新規参入のクムホにスイッチすることも決めている。

 TCRヨーロッパの2022年スケジュール幕開けは、5月最初の週末を予定。開幕戦は新たに追加された2箇所のサーキットのうちのひとつであるポルトガルのポルティマオ(アルガルベ)とし、これがDTMとの併催戦に。そしてもうひとつの新トラックであるノリスリンクが7月の第4戦となり、8月にはニュルブルクリンクと合計3ラウンドがDTMのカレンダーとジョイントする形となる。

 残りのイベントはGTオープンとともに開催され、フランスのポールリカールは昨年と同じように5月末に第2戦として実施。6月の第3戦はベルギーのスパ・フランコルシャンで争われ、終盤2戦は前年度から不変のラインアップとし、9月末のイタリア・モンツァが最後から2番目のラウンドを主催、10月15~16日のスペイン・バルセロナでシーズンフィナーレを迎える。

「新たなイベントリストを公表できたことにとても満足している。引き続きエントラントに対しては、ヨーロッパ域内で最も象徴的なサーキットでレースする機会を提供できるわけだからね」と語るのは、シリーズプロモーター代表のパウロ・フェレイラ。

「DTMとGTオープンの主催者が、各イベントで我々を歓迎してくれたことにも非常に感謝している。これによりモータースポーツファンが開催トラックに戻り、ドライバーたちの緊迫したバトルを楽しむことができると確信している」

 そう語ったフェレイラ代表は、これまでシリーズが採用してきたヨコハマ、ハンコックに続き、2022年に向けTCR新規参入を表明したクムホタイヤにスイッチし、3年連続でタイヤ銘柄を変更することも明かした。

「この発表ができたこともうれしく思う。来季からクムホタイヤと一緒に仕事ができることを楽しみにしているし、TCRシリーズの範囲全体で同一規定のタイヤを使用することは、主催者とエントラントの双方にとって完全に理にかなっている」と続けたフェレイラ。

ノリスリンクを筆頭に、2022年はDTMドイツ・ツーリングカー選手権との併催イベントを設定した
予選のポイントシステムが見直され、最終的なランキングに大きく影響を及ぼすことが期待される

■予選ではQ1、Q2両方でポイントが付与されることに

 これにより、TCRヨーロッパは2021年の暮れに先行してクムホの採用をアナウンスしたTCRデンマーク、TCRスペイン、TCRイースタン・ヨーロッパと並んで、2022年にクムホタイヤを使用する4番目のシリーズに名乗りを挙げた。

「クムホタイヤがシリーズプロモーターや(TCR統括団体の)WSCと協力し、特注のTCRタイヤを新規開発、製造することは、大きな先見性を示していると思う。重ねて、2021年シーズンにハンコックタイヤが協力してくれたことにも感謝したい」

 また、2021年までの予選システムに対するポイント獲得方法にも変更が加えられ、最終予選結果のトップ10ドライバーが、ポールポジションの10点から順に得点を加算していた方式を見直し、予選のQ1とQ2両方のフェイズでポイントが付与されることに。

 これまでQ1はリバースグリッド確定のみの位置付けでポイント獲得がなかったことから、各ドライバーはレース2のポールを確保するため戦術的なアプローチを採用する事例が散見されていた。

 改訂されたスポーティングレギュレーションでは、Q1の上位6名に6~1点でポイントを付与し、Q2では上位5名に10、7、5、4、3点が割り当てられる。レース自体のポイントシステムに変更はないものの、これにより予選でのポイント獲得が最終的なランキングに大きく影響を及ぼすことが期待される。

 また、2021年にはブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンを舞台に初年度シーズンを開催し、国際シリーズ経験者のぺぺ・オリオラが初代王者を獲得したTCRサウスアメリカだが、今季2022年の新チャンピオン獲得者に対し、2023年中に1戦限定でTCRヨーロッパへのゲスト参戦枠を提供することも決定。

 TCRサウスアメリカのゼネラルマネージャーを務めるフェデリコ・プンテリは「TCRサウスアメリカを立ち上げた瞬間から、これはヨーロッパと北米、そのほかのTCRシリーズに向け、ラテンアメリカのドライバーやチームの参加を促進する理想的なプラットフォームであると主張してきた」と、早くも結実したコラボレーションの成果を歓迎するコメントを残した。

「TCRサウスアメリカでは、新王者のオリオラを筆頭に初年度から、サンティアゴ・ウルティア、トム・コロネル、エステバン・グエリエリ、そしてネストール・ジロラミなどが参加してきた。参戦ドライバーに対し、自分自身を国際レベルで測定する機会を提供できたことをとてもうれしく思っているよ」

2021年のTCRヨーロッパは、WTCR、ピュアETCRとの掛け持ち参戦ながら、ミケル・アズコナがシリーズを制している
南米大陸の地域選手権であるTCRサウスアメリカ・シリーズの2022年チャンピオンに対し、プライズとしてTCRヨーロッパへの1戦限定出場枠を用意する

■TCRヨーロッパ・シリーズ2022年暫定カレンダー

ラウンド 開催日 開催地(併催)
Rd.1 4月30~5月1日 ポルティマオ(DTM)
Rd.2 5月21~22日 ポールリカール(GT Open)
Rd.3 6月18~19日 スパ・フランコルシャン(GT Open)
Rd.4 7月2~3日 ノリスリンク(DTM)
Rd.5 8月27~28日 ニュルブルクリンク(DTM)
Rd.6 9月23~25日 モンツァ(GT Open)
Rd.7 10月15~16日 バルセロナ(GT Open)

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