球界最強の“真の長距離砲”は誰? セパ両リーグの本塁打王をも凌駕した打者とは

巨人・岡本和真、オリックス・杉本裕太郎、ヤクルト・村上宗隆、ソフトバンク・柳田悠岐【写真:荒川祐史】

セ・リーグで本塁打王となった岡本は5位、村上は3位

野球を科学的に分析するセイバーメトリクスには「ISO」という指標がある。打者の打席成績からシングルヒットを除外し、二塁打以上の“長打”の率を示すというもので、“純粋な長打力”を示すと言える数字だ。

打者を評価する上で基準とされてきた「長打率」には単打も含まれており、例えば100打席で40単打を打った選手と、100打席で10本塁打を放った選手では同じ長打率となっていた。これでは打者の“真の長打力”を表しているとは言えず、そこで考え出されたのが、この「ISO」だ。

では、昨季のプロ野球でこの「ISO」が高かった真の長距離打者は誰なのだろうか。セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータを基に見ていこう。なお、昨季300打席以上に立った選手に限った。

上位10人には各チームを代表する強打者の名前が並んだ。10位には巨人の丸佳浩外野手(.230)が入り、9位は西武の山川穂高内野手(.237)、8位にソフトバンクの柳田悠岐外野手(.240)と続いていく。7位は日本一になったヤクルトの山田哲人内野手(.243)、6位はパ・リーグ王者オリックスの杉本裕太郎外野手(.251)に。山川や柳田、山田、杉本とパワーヒッターの印象が強い選手たちが並ぶ。

ただ、この面々よりもさらに高い「ISO」を残した打者がいる。5位からはセ・リーグ2冠王の巨人・岡本和真内野手(.265)、ロッテのレオネス・マーティン外野手(.267)と続き、3位には岡本と本塁打王を分け合ったヤクルトの村上宗隆内野手(.288)がランクインしている。

広島・鈴木誠也【写真:中戸川知世】

12球団の打者でも群を抜く数値だったのは…

両リーグの本塁打王を上回る2位に入ったのはDeNAのタイラー・オースティン外野手。オースティンは昨季107試合の出場で打席数も439と規定打席に届かなかったものの、28本塁打、25二塁打、1三塁打を放った。単打を除いたISOは.298となっており、3位の村上にも1分の差をつけた。

そして、セパ両リーグの並み居る強打者たちの中でも群を抜く数値を叩き出したのが、広島の鈴木誠也外野手だ。純粋な長打力を示す「ISO」は.322を記録しており、オースティンとも2分以上の差がある。鈴木誠は132試合の出場でリーグ3位の38本塁打を放っただけでなく、26本の二塁打も記録。138安打のうち単打は74本と少なかった。

鈴木誠やオースティンは従来の「長打率」でも12球団の1位、2位だが、同4位のオリックス・吉田正尚外野手(長打率.563、ISO.224)や7位のDeNA・牧秀悟内野手(長打率.534、ISO.220)、10位のヤクルト・サンタナ外野手(長打率.511、ISO.220)といった面々はISOでは上位には入ってこない。逆に丸(長打率.495)や山川(.長打率.469)はISOでは上位の選手になる。

なお、逆に12球団で最も「ISO」が低かったのはオリックスの安達了一内野手で.044、安達に続くはオリックスの福田周平内野手で.047と、オリックス勢2人が低い数値に。阪神の中野拓夢内野手(.056)、中日の大島洋平外野手(.058)、中日の京田陽太内野手(.059)と続いていく。(Full-Count編集部)

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