博多座2月特別舞踊公演が開催! 坂東玉三郎が4年半ぶりの出演に「えりすぐりの演目をもって臨みたい」

博多座(福岡市中央区)では2月2~19日まで「坂東玉三郎 特別舞踊公演」を上演。公演に先立ち、昨年12月20日に合同取材会が行われ、出演する坂東玉三郎が登壇した。

博多座での出演は通算7回目。17年9月「幽玄」公演以来、約4年半ぶりとなる玉三郎。「大きな空間を持つ博多座にはえりすぐりの演目を持って臨みたい」と「口上」「鶴亀」「日本振袖始」の三つを用意した。“幕開け”となる「口上」は玉三郎の舞踊公演では恒例。通常の口上に加え、衣装の紹介などにより観客に楽しめるような工夫を凝らす。

玉三郎は「『口上』のために琳派風の屏風を作りました。その制作現場には、何度も足を運んだんです」と強いこだわりを見せる。衣装については「大阪松竹座、南座、御園座でそれぞれ違うものを披露して、もうお見せできるものがなくなって…」と笑いながらも、「何かまた新しいものをご披露できれば。衣装の披露に加えて、さらに新しいものをお目にかけられないだろうかと考えています」と2月本番へ向けた新たな構想を明かした。

二つめの「鶴亀」は、唐の時代における新年の儀式が題材の能を歌舞伎舞踊にした。若手歌舞伎俳優の中村橋之助、中村福之助、中村歌之助と共演。その3人に稽古をつける際には「『3人で話し合って復習しなさい』と言うと、本当に仲良く話し合ってきちんと復習をする。とてもいい関係性ですね」と若手らの上達を温かく見守る。

三つめは日本神話を題材とした舞踊劇「日本振袖始」。素戔嗚尊(スサノオノミコト)による八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治を描いた物語で、大蛇に化身する岩長姫を玉三郎が演じる。これまで何度も手がけているこの役について「2020年12月に久々に歌舞伎座に続き、2021年8月に南座でやらせてもらいました。どちらもご好評をいただき、博多座の方からもぜひということだったので『それでは!』と。現実世界から飛躍した題材で、後シテ(演目後半の主人公の姿)も華やかなものなので、きっと喜んでいただけるのではないか」と自信を見せた。

取材会の最後は「私はいただいた目の前のお仕事を、日々どう生きるかを大事に思ってます。現実に起きている苦しいことを時間と空間を区切って、上演中だけはお忘れいただける時間を過ごしていただけるよう最善を尽くします。出演者の皆さんと力を合わせてご来場いただくお客さまに素晴らしい時間を過ごしていただけるよう努めたいです」と公演に向けて、熱い胸の内を語った。

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