殿堂入り投票 最終年のボンズ、クレメンスへの支持は広がらず

2022年度のアメリカ野球殿堂入り投票は日本時間1月26日に投票結果が発表され、同7月25日に殿堂入りセレモニーが開催される。投票は昨年末で締め切られており、現時点では匿名7人を含む143人の記者が自身の投票先をSNSなどで公開している。ライアン・シボドー氏らの有志グループがこれを集計し、現時点ではデービッド・オルティス、バリー・ボンズ、ロジャー・クレメンスの3人が当選ラインとなる得票率75%をクリア。しかし実際のところ、ボンズとクレメンスへの支持は広がっておらず、殿堂入りは厳しい状況だ。

殿堂入り候補30人のうち、ボンズ、クレメンス、カート・シリング、サミー・ソーサの4人は今回が10度目の挑戦となり、記者投票で殿堂入りするラストチャンスを迎えている。シリングは過去2回連続で得票率70%を超えていたが、昨年度の投票結果発表後に「投票対象から外してほしい」と発言したことなどが影響したのか、昨年度シリングに投票した記者のうち、すでに18人がシリングへの投票を回避しており、ラストチャンスでの殿堂入りは絶望的な状況となっている(昨年度シリングに投票していない記者2人がシリングに投票しているため、トータルでは前年比マイナス16票)。ソーサは昨年度の得票率17.0%が自己最高で、今回も現時点で26.6%にとどまっている。

ボンズとクレメンスという大物2人に目を向けると、両者とも現時点では当選ラインの得票率75%をクリア(ボンズ80.4%、クレメンス79.0%)。しかし、各記者の個別の票を見てみると、昨年度ボンズに投票せず、今回ボンズに投票した記者は3人だけ。逆に昨年度ボンズに投票した記者のうち、1人がボンズへの投票を回避しており、トータルでは前年比プラス2票とほとんど支持は広がっていない(クレメンスも同様に前年比プラス2票)。まだ全体の6割以上の記者は自身の投票先を明らかにしていないが、これらの票が加算されたときに得票率75%をクリアできる可能性は極めて低いとみられる。ステロイド疑惑があるとはいえ、史上屈指の実績を誇る両者だが、記者投票での殿堂入りを果たすことなく有資格期間の10年を完走することが濃厚だ。

今回の投票で殿堂入りする可能性があるのは有資格初年度のオルティス。現時点では得票率83.2%とトップの支持を集めており、最終的に75%のラインを突破する可能性は十分にある。また、昨年度の投票で35.3%から52.9%へ大幅アップを遂げたスコット・ローレンは現時点で72.0%。今回の殿堂入りは難しいかもしれないが、早ければ来年度の投票で殿堂入りが実現することになりそうだ。

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