がん治療 不安に寄り添う/青森労災病院(八戸)「がんメンタルケア」の取り組み進む

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がんメンタルケアに取り組んでいる公認心理師の松坂さん(左)と亀田さん=八戸市の青森労災病院

 青森県八戸市の青森労災病院は本年度、がん患者の精神面を支えて治療効果の向上につなげようと「がんメンタルケア」の取り組みを進めている。公認心理師が早い段階から患者の不安に寄り添うことで、治療に臨む意欲が高まるなどの効果が出てきている。

 同病院は2020年11月、院内の各部門が連携を強化してがんの診療と患者や家族の支援に取り組む「がん診療センター」を開設した。がんメンタルケアは、同センター事業の一環として21年6月にスタート。医師の診察の初期段階から公認心理師が患者と関わりを持って心の状態を確認し、悩みや要望に耳を傾ける。その後は患者からの申し出や医師の治療方針など、必要に応じて継続的にカウンセリングに当たっていく仕組みだ。

 現在は放射線治療科の患者を中心に行われており、12月中旬までに40代から80代の29人に対し延べ75回の面談をした。がんの告知を受けた患者の中には不安を強く感じている人も少なくない。メンタルケアを実施したことで「災害で突然命を奪われる人もいるが、自分は生きているからできることがある」(50代女性)、「家族にご飯を作ってあげたい。頑張って退院したい」(80代女性)と話すようになるなど、気持ちが前を向くようになったケースが見られてきているという。

 同病院副院長で同科部長の真里谷靖医師(62)は「人の気持ちは免疫機能に深く関わっている。心が穏やかな状態で治療を受けてもらう方がいい」と話す。患者が医師や看護師に話していないことを公認心理師に話すことがあり、治療の進め方などに対する患者の気持ちが浮かび上がってくることもあるという。

 公認心理師の松坂真友美さん(37)は「家族や親しい人には心配を掛けたくないと心の中を話せていなかった人もいた。不安を放置するとうつ状態になる可能性もある。取り組みを重ねる中で治療の支えになっていると実感している」と語る。

 がんメンタルケアは、ほかの診療科や外来患者にも広げていく方針。公認心理師の亀田恵美さん(32)は「患者さんと、医師や看護師ら医療者のどちらにも寄り添えるようになりたい」と意欲を見せる。松坂さんは「患者さんの治療に向かう力を引き出していきたい」としつつ「カウンセリングは心の健康を保つもの。心が重くなる前に、気軽に受けてほしい」と話した。