横須賀の「裂織」作家・秋園さん、全国公募展で優秀賞 「着物を生まれ変わらせる魅力伝えたい」

ジャケット「陰翳礼賛」を制作し全国公募展で受賞した秋園さん=横須賀市久里浜

 不用の着物などを細長く切って織り上げる「裂織(さきおり)」の作家・秋園圭一さん(36)が手掛けたジャケットが、全国公募展で優秀賞(第2位)に輝いた。裂織を始めて8年目の受賞に「技術の向上が認められてうれしい」と喜びもひとしおだ。

 昨年12月に都内で開かれた「裂織アート&クラフト2021展」で優秀賞を受賞した作品のタイトルは、陰によって生かされる美こそ日本の伝統美であると説いた谷崎潤一郎の随筆から着想を得た「陰翳礼賛(いんえいらいさん)」。藍色系の着物地が明るい7色の縦糸を引き立て、複雑な陰影の妙を表現したジャケットで、約2カ月かけて完成させた。

 秋園さんは大学時代に機械工学を学ぶ傍ら、自分の手で作る手芸やクラフトに関心を持ち、約8年前に裂織に出合った。廃品を再利用できるところに魅力を感じて独学で始め、途中で女性作家に師事して本格的に技術を学んだ。

 約8年前に横須賀市久里浜に構えた工房では教室も開いており、思い入れのある着物を再利用したいと受講する人も多い。「着物を生まれ変わらせることができる裂織の魅力を伝えていきたい」と秋園さんは話している。

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