柄本明、藤原季節と「海の見える理髪店」で共演。「45歳も年齢の違う若者と、がっぷり組んで芝居をさせてもらいます」

柄本明と藤原季節が、NHK BS8Kで3月に放送される、8Kスペシャルドラマ「海の見える理髪店」(日時未定。BSプレミアム・BS4Kでは4月以降放送予定)で共演する。

ドラマは、荻原浩氏の「海の見える理髪店」を原作に、安達奈緒子氏が脚本を手掛け、海辺の小さな町の理髪店を舞台に、老店主と若い客の1時間あまりの静かで熱い邂逅(かいこう)を描く。柄本が老店主、その店を訪れる若い男を藤原が演じ、眞島秀和、水野美紀が脇を固める。

なぜ若者は海辺の理髪店を訪れたのか。なぜ老店主はみずからの人生を語り始めるのか? 優しい海辺の風景、刻々と色を変える夕方の太陽、蒸しタオルから立ち昇る湯気、ハサミのリズミカルな動き、宙を舞う毛束、泡立つシャボン、心地よいマッサージなど、8K映像が余すことなく映し出す、美しい情景と職人技が見どころだ。

柄本は「藤原季節くんという45歳も年齢の違う若者と、がっぷり組んで芝居をさせてもらいます。それも彼の髪を切りながら、まるで淀みなくセリフを話すわけですから、新年早々かなりの挑戦です。その上、若返らなければならないシーンもあるので、正月で少しゆるんだ体をキッチリ絞っていきましょう」と意気込む。

一方、藤原は「鏡に映る自分の心も、髪の毛を切る人の心も分からない。それでも『海の見える理髪店』にはきっと大切な何かがあると信じたい。会って言葉を交わすことが大切なんだと信じてみたい。こんなに素晴らしいチームでドラマが作れるチャンスなんて二度とない。僕はただ黙ってその世界に立って、柄本明さんと同じ空気を吸えたらと思います」と気合十分だ。

海辺の理髪店に若い男が訪れる。「髪形はお任せします」という客のオーダーに、老店主はうれしそうに調髪に取り掛かり、問わず語りにこれまでの自分の人生を語り出した。祖父が始めた床屋を10才から手伝い、初めて任された仕事は出兵する常連をバリカンで丸刈りしたことだった。昭和30年代には順調だった店が傾き、酒におぼれ、最初の妻に暴力をふるって離婚されたことも。そんなとりとめのない話をしながら、店主は見事な手さばきで調髪を続ける。ところが「人を殺めたことがある」と、突然彼は若い男に告白する――。

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