「なぜこのタイミングで…」広がるオミクロン、迫る大学共通テスト 受験生ピリピリ

昨年の大学入学共通テストで試験開始を待つ受験生=佐世保市、県立大佐世保校(2021年1月16日)

 大学入学共通テストまで1週間を切った。折しも、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が全国で急拡大。第3波の真っただ中だった昨年に続き、今年もコロナ禍で大学入試シーズンを迎えた。長崎県内の受験生や保護者らは、感染対策に神経をとがらせながら、追い込みを掛けている。

 共通テストは15、16日。県内では長崎大など9会場で実施し、前年より183人少ない5132人が志願している。昨年同様、コロナ対策として各会場で受験生はマスクを常時着用。座席間隔を約1メートル開け、試験室の換気など感染防止策を徹底する。体調を崩した受験生がいれば、2週間後の1月29、30日に追試験を行う予定。
 文部科学省は昨年12月、オミクロン株の濃厚接触者は症状の有無にかかわらず国公私立大の受験を認めないと決定。しかしわずか数日後、無症状で陰性だった場合は別室での受験を可能にすると方針転換した。
 共通テストは新型コロナのワクチン接種を受験要件にはしていないが、長崎市の女子生徒(18)は、受験に備え新型コロナとインフルエンザのワクチンを両方接種した。「県外の国立大の推薦入試では合格できなかったので、気持ちを切り替えてリベンジしたい」と意気込む。
 昨年末まで、新型コロナの感染状況は全国的に落ち着きを見せていたが、今年に入り様相が一変。各地で感染者数が爆発的に増加し県内でもオミクロン株の感染者が確認された。受験生にとっても県境を越える移動はリスクを伴う。関西の大学を志望する西彼長与町の受験生の父親(48)は「なぜこのタイミングで…。移動や宿泊などへの影響も心配。できるかぎりの対策を講じながら見守りたい」と不安顔で語る。
 一方、ある受験生の母親(44)は「コロナ禍での1人暮らしは負担が大きそうで、娘には自宅から通える大学を勧めている」と明かす。関係者によると、海外留学が難しい情勢の中、国際系学部などの志願者は減少傾向といい、コロナは受験生の学部選択にも影響を及ぼしている。
 昨年、県内の共通テスト9会場では、大学側も受験生も感染対策に努め、問題は起きなかった。県内で最も受験者数が多い長崎大文教キャンパスは、今年もガイドラインに基づき万全の体制を整える。同大の中村典生副学長(入試・地域教育連携担当)は「受験生はしっかりと体調を整え、本番で実力を発揮してほしい」としている。


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