「他の競技を好きでもいい」元ロッテ・里崎氏らが“教えすぎない”野球教室に込めた願い

野球教室を開催した元ロッテ・里崎智也氏(右)、荻野忠寛氏【写真:編集部】

里崎氏の母校・帝京大でロッテ同僚の荻野忠寛氏と野球教室

ロッテで捕手として活躍した里崎智也氏、セットアッパーを務めた荻野忠寛氏が10日、東京都八王子市の帝京大で野球教室を行った。テーマを「スポーツを楽しむこと」に設定し、近隣の小学生80人が参加。両氏が意識していたのは「教えすぎない」ことだ。

低学年も多く参加したため、内容はキャッチボールやノックといった基本的な練習だった。さらに里崎氏は自ら、ロングティーやキャッチングを披露しプロの凄さに触れさせた。冗談を交えながら、選手の目線に立って触れ合っていた。

意識したのは「教えすぎないこと」だ。荻野氏は「このくらいの年の子どもたちに『ああしろ、こうしろ』と言ってもわからないし楽しくない。まずは、野球を楽しんでほしいんです」と意図を語る。投球練習で伝えたのは、(右腕は)投げた後までしっかり左足に体重を乗せることと、左肩を投げる方向に向けることの2つだけ。細かいことを意識せず、思い切り投げることが“楽しい”につながると考えているからだ。

野球人口は減っているが「競技レベルが落ちているわけではない」

少年野球人口の減少が叫ばれて久しい。ただ2人は意外にもここへの危機感は高くない。子どもが減れば、競技人口が減るのも当然のことと受け止め、高いレベルでのプレーに進まなくとも“野球好き”という子どもたちが増えれば、競技は発展していくと考えている。

里崎氏は「何年も前から『野球人口が減っている』と言われていますけど、大谷翔平や佐々木朗希は出てくる。競技レベルが落ちているわけではないんです」と口にする。その上で「野球も、他のスポーツも好きでいいんです」と、まずはスポーツ好きを増やそうと努力している。

少年野球チーム・帝京ベースボールジュニアでは、里崎氏が会長、荻野氏が副会長を務める。大きな特徴は“マルチスポーツ”を掲げての活動だ。まずはグラウンドに来て、野球だけでなく様々なスポーツを行う。時には他競技の大会に出ることもある。狙いは子どもたちの選択肢を増やすことだ。

大切なのは、まず子どもたちが楽しみ、スポーツに親しむこと。それは野球でなくても構わないし、大人が子どもの楽しむ気持ちを阻害してはいけない。里崎氏、荻野氏は、野球界だけでなく、スポーツ界全体の発展を見通している。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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