「カムカムエヴリバディ」ジョー役が話題! オダギリジョーが意識していることとは?

NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土曜午前8:00ほか)。深津絵里演じるヒロインのるいが働くクリーニング店に客として訪れる、謎の男・大月錠一郎、通称・ジョー役を務めるオダギリジョーが、共演の深津や役作りについて語った。

上白石萌音、深津、川栄李奈が主演を務める同作は、“朝ドラ”史上初となる3人のヒロインが登場し、昭和・平成・令和の時代に、ラジオ英語講座とともに歩んだ祖母、母、娘の3世代親子を描くファミリーストーリー。現在は、2代目ヒロイン・るい(深津)の大阪編がオンエア中だ。岡山を出て、大阪で暮らし始めたるいは、個性豊かな温かい人々と出会いながら成長していく。

オダギリ演じるジョーは、名前も住所も分からず、すぐ消える謎の男。いつもシャツには同じ汚れをつけており、背広から下着まで大量の洗濯物を置いていく。つかみどころのない言動で、るいを戸惑わせる役どころだ。やがて、錠一郎との出会いが、るいの運命を動かしていくこととなる。

「“朝ドラ”はあまり見たことがなかった」と正直に明かすオダギリは、本作へのオファーを受けて「自分との距離が遠いものだったので、お引き受けするかどうかすごく悩みました。やっぱり“朝ドラ”って朝の顔でもあり、NHKを代表する作品の一つですもんね。そこに自分が参加していいんだろうかという気がしていました。僕は夜中の作品の方がしっくりくるタイプだし(笑)、今までもインディーズや小さな作品に重きを置いて活動してきたので、“朝ドラ”は自分らしくないかなと、だいぶ悩みました」と葛藤したことを明かしつつ、「ただ、脚本家の藤本(有紀)さんが自分をイメージして書いてくれた役だと聞くと、役者冥利(みょうり)に尽きる光栄なことだとうれしかったし、求めてくれた以上のものをお返ししたいという気持ちに傾いていきました」と心境を伝える。

役柄を演じるにあたって、意識したことについては「僕は俳優として少しひねくれたタイプだと自覚していますが、あまり分かりやすい表現をしたくないタイプなんです」と苦笑しながら、「なのでNHKだから、“朝ドラ”だからといって、丁寧で分かりやすい芝居をするのではなく、いつも通りの表現を心がけました。例えば、自分が演じるジョーは最初20代なんです。40代の自分が説明的に20代を演じようとするよりも、何歳であろうと人間が持つ感情や感覚的な部分を表現することを重視していました」と、あくまでも自然体で役柄に向き合っている。

加えて「あとはトランペットですね。ジョーにとって何よりも大切なトランペットがうそにならないように、とにかく練習を続けました。1日に6時間を超える日もありましたが、そうした時間の積み重ねが体に染み込み、芝居に影響していくものなので、妥協のない形でトランペットに向き合いました。準備さえできていれば、あとは現場で『なるようになるだろう』という感覚で挑みました」と妥協せずに練習に励んだ上で、撮影に臨んでいるそう。

また、「すごく丁寧な方」と表するヒロインの深津に関しては、「作品に誠意を持っていて、真摯(しんし)に芝居に向き合っている姿が印象的です。台本に関して疑問があれば、深津さんと僕、演出担当やプロデューサーみんなで話し合う時間を持ちながら進めていますし、一つ一つ、適当には進めずに、慎重にものづくりをされる印象です。今までの仕事の選び方も、そういうことなんでしょうね。自分が納得できないものは引き受けないで、ちゃんと本気で向き合える作品だけを選んでいる。それは同業者として、心から信頼できるポイントですね」と俳優として共鳴できる相手であると話す。

さらに、「現場での深津さんはとにかく集中されていて、気軽に話しかけることはできない雰囲気があります。それは他者を威圧するものではなく、心地よい緊張感ですね。同時に、共演者もスタッフも深津さんに対して100%の安心感を持っていますし、深津さんを中心に『カムカムエヴリバディ』が転がっているのを強く感じます。スタッフもみんな愛情深く、温かいいいチームなんです。大阪の情がにじみ出ている愛すべきチームです。これだけ仲良く、家族のような関係が作れているというのは、“朝ドラ”のチームだからなのかなっていう気はしていますね」と深津を中心に、いいチームで撮影が進んでいることを報告。

そして、視聴者に向けて、「深津さんと僕が演じる、るいとジョーは(川栄演じる3代目ヒロインの)ひなたの人生にも関わっていく大切な役なので、丁寧に感情を紡ぐように心がけています。安子編も素晴らしかったですが、るい編は大阪らしい明るさと、藤本さんの描く人生の機微を細やかに表現できればいいなと思っています。るいとジョーの物語が後々ひなたに受け継がれ、ひなた編になった時に、またあらためて、るいとジョーの若かりし日々や大阪での物語がいとおしく感じてもらえたらいいなと思いますし、ひなたを見ているだけで、若き日のるいとジョーを思い出せるような、そういう強い感情を残せる2人が作れたらいいなと思います」とメッセージを寄せている。

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