神奈川、昨年の倒産件数と負債総額 バブル期並み低水準に

 東京商工リサーチ横浜支店が11日発表した2021年の県内企業の倒産件数と負債総額(負債額1千万円以上)は、バブル期並みの低水準だった。新型コロナウイルス禍で全体的な業況は悪化しているものの、国の各種支援策が企業の資金繰りを支える形となった。

 件数は前年比18.7%減の360件、負債総額は9.2%減の428億3300万円といずれも2年連続で減少した。記録が残る1989年以降、件数は90年(262件)、89年(305件)に続き3番目の少なさ。負債総額も89年に次いで2番目に少なかった。

 同支店の担当者は、コロナ禍で実施された実質無利子無担保の「ゼロゼロ融資」や持続化給付金などが倒産件数を抑え込んだと指摘。「空前の好景気で倒産が少なかったバブル期とは様相が大きく異なり、資金支援によるこれ以上の抑制は考えづらい」とした。

 倒産を原因別でみると、最多は「販売不振」の177件。中長期的に赤字が累積する「既往のしわ寄せ」の144件が続き、両者を合わせた不況型倒産が全体の9割近くを占めた。負債額別では5億円未満が約95%に上り、小規模な倒産が目立つ傾向が継続。産業別では建設業の93件が最も多く、次いで飲食業を含む「サービス業他」の88件だった。

 担当者は、業績が厳しい企業は追加の借り入れが難しくなっているとした上で「倒産件数は22年に増勢に転じる可能性が高い」との見通しを示した。

 21年12月単月の倒産件数は、前年同月比15.2%減の28件、負債総額は7.2%減の17億8900万円だった。

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