「じゃんけんで決めてもいいかな」新庄監督を悩ませる日本ハムの定位置争い

日本ハム・新庄剛志監督【写真:荒川祐史】

激しい競争にニンマリ「1つのポジションに2、3人固まっている」

日本ハムの新庄剛志監督は、今季に向けたオーダーを組むのが楽しみで仕方がないという。9日に新人合同自主トレを視察した後で「ラインナップを作っていたら、頭がおかしくなるよね。ひとつのポジションに(レギュラー候補が)2、3人固まっていて。ここに助っ人外国人も来たらもう、じゃんけんで決めてもいいかなくらいの悩みだよ」。成長に競争は欠かせない。ビッグボスの胸を希望でいっぱいにしている、定位置争いの現況をチェックしたい。

○捕手
昨季は98試合で守った清水優心が最多出場だが、石川亮も自己最多の58試合に出場。皆打撃を課題にしており、大学時代は強打で鳴らした2年目、古川裕大あたりの成長があれば勢力一変の可能性も。

○一塁手
4年目で初の1軍出場なしに終わった清宮幸太郎の成長がカギとなる。2軍で本塁打王を獲得したものの打率は.199と確実性に欠けるのは相変わらず。1軍の最多出場は95試合で守った高濱祐仁で、背番号が91から31へと若返る今季、定位置を守ることができるか。

○二遊間
昨季、二塁での最多出場は渡邉諒の81試合、同じく遊撃は石井一成の101試合。2年連続して3桁の試合に出場していた渡邉は打率.242と攻守に安定感を欠き、2軍落ちも味わった。4年ぶりに出場試合数が3桁となった石井は打率.225、7失策と、攻守の課題を克服できていない。球団も重点補強ポイントと見たのか、ドラフトで水野達稀(JR四国)、上川畑大悟(NTT東日本)と即戦力候補を補強し一気に激戦区に。ルーキーながら8試合に出場した細川凌平にも注目したい。

日本ハム・野村佑希【写真:石川加奈子】

西川、大田を放出しポジションを「空けた」外野はどうなる

○三塁手
3年目の野村佑希が守ったケースが97試合に達した。打率.267、7本塁打と強打が魅力だが、リーグ最多の16失策と守備が課題。出場試合数2位は53試合の谷内亮太で、こちらは無失策で通したものの打率.179と主に出番は守備固め。英才教育のような起用が続いてきた野村の定位置が盤石かといえば決してそうではなく、二遊間の争いから漏れた選手が回ってくることもあるだろう。また、昨季ゴールデングラブ賞を獲得した宗(オリックス)のように、アッと驚くコンバートもあるか。

○外野手
昨季124試合で守った西川遥輝、一昨年まで4年連続で2桁本塁打した大田泰示という主力を放出し、ポジションを空けた形となっている。新戦力の台頭で埋めるしかない。5年連続で4割超えの高い出塁率を誇り、昨季は自己新の11本塁打した近藤健介は、両翼か指名打者に入って来るだろうが、それ以外は激しい競争だ。昨季116試合で守った淺間大基、負傷で出場こそ27試合にとどまったものの、9盗塁を記録した五十幡亮汰、2軍で打率.280、17本塁打の強打を見せた万波中正らは魅力たっぷりだ。

ここに両打ちで内外野を守れるアリスメンディ・アルカンタラ、大リーグでシーズン31発の実績があるレナート・ヌニエスが加わる。全員横一線のスタートを強調する新庄監督は、今季を「テスト」だと言う。「今年は皆チャンスですよ。来年はガチガチで行くから。ちょっと(定位置を)つかんだらすぐ億ですよ」。しっかり相手を見ながらの競争は選手の成長を生む。名前のある選手がいるとは言えない。その分アッと驚く伸びを見せれば、誰もがレギュラーだ。

【一覧】どこも熾烈な争い…ポジション別で見る日本ハムのレギュラー候補たち

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(Full-Count編集部)

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