韓国プロ野球で「最後のチャンス」 京都国際高から初めてNPB入りした選手の現在

2021年の韓国シリーズに進出した斗山ベアーズ【写真:Getty Images】

2008年ドラフト4位で広島に指名された申成鉉、現在は斗山ベアーズに所属

昨夏の甲子園で4強まで進んだ京都国際高は、過去に7人のプロ野球選手を生んでいる。そのうち最初にプロ入りを果たしたのが、2008年のドラフト4位で広島に指名された申成鉉(シン・ソンヒョン)内野手だ。韓国・ソウル出身の申成鉉は、高校入学を機に日本へ。プロまで進んだものの、NPBでの1軍出場はないままに5年目の2013年限りで自由契約となった。ただ彼は、まだ母国・韓国のプロ野球で現役を続けている。逆輸入プロ選手の“今”を、韓国メディア・MKスポーツが伝えている。

記事は「2軍打撃王 申成鉉には本当に最後のチャンスだけが残されている」というタイトルで、1990年生まれの申成鉉が、現役続行への瀬戸際に立たされている現状を伝えた。

広島を退団した翌2014年に韓国プロ野球へ身を投じてから、今季で9年目となる。2016年にはハンファで1軍定着、89試合で打率.278、8本塁打とプロ野球選手としての地固めを果たしたように見えた。この年7月には、若手選手が出場する“フューチャーズオールスター”でMVPを獲得してもいる。

ただ2017年春、斗山ベアーズへトレード移籍されてからは出場機会も減る一方だ。昨季は2軍で打率.331を残したものの、1軍出場は11試合、打率も.182に終わっている。

記事は「申成鉉が(今オフ)生き延びたのは打撃能力ではない。2軍で後輩たちをしっかり把握し、相談役を果たしているのが生存の理由だ」と指摘している。その理由として「申成鉉の去就に対しては様々な意見があった。誠実でリーダーシップがある選手だから、もう一度チャンスを与えようという主張が力となった。2軍の打撃成績より、2軍で苦しむ後輩たちを引っ張る姿が点数となった」という斗山関係者のコメントを紹介。選手としての能力よりも、チームで果たしている役割がまだ必要と評価されての再契約だった。

「もはや『可能性』だけではいけない」崖っぷちのシーズン

さらに現役を続けるには、グラウンド上で結果を残すしかない。記事も「もう30代となって久しい申成鉉は、もはや『可能性』だけではいけない。1軍で実績を出せなければ最後の挑戦になることもある」とする。

斗山のキム・テヒョン監督も「あまりにも誠実で、頑張る選手なのでチャンスを与えたいという考えではいる。その代わりに、チャンスが来た時には確実に結果を見せなければならない。現在の申成鉉は、その意味で優先順位が高くない」とコメント。与えたチャンスを生かせていないと感じているようだ。

厳しい言葉ではあるが、記事の「崖っぷちに立っている状況だ。もはや2軍リーグでの記録は重要ではない。1軍の生存競争で、価値を示さなければならない」という指摘も、的を射たものだろう。

日韓を股にかけての進学、プロ入り、そして移籍をこなしてきた。韓国の独立リーグでプレーしたこともあり、ハンファ時代には前十字靭帯断裂という大怪我を追った。

記事はこう結ばれている。「様々な困難を乗り越え、今の位置まで上って来た申成鉉が1軍を目の前に、崩れていくのはあまりにも惜しい。限られたチャンスをどのように生かすかが宿題だ。時間は申成鉉を待ってはくれない。最後になるかわからないシーズンで生き残ることができるだろうか」。着々と強豪校に育ってきた母校の後輩たちも、申成鉉の意地をかけた再起を望んでいることだろう。(Full-Count編集部)

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