テッポウエビ類の「音」で海の豊かさ把握 佐世保高専生 解析システム開発へ

海中の音を解析して、モニタリングシステムの開発を目指す本山さん(前列左)、出井さん(同右)、田中さん(後列左)、道上さん(同右)=佐世保高専

 長崎県の佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)の学生4人が、海の豊かさの指標になるテッポウエビ類が鳴らす音を解析し、リアルタイムで海の生態系を把握するシステムの開発に取り組んでいる。最新の通信技術を使い地域課題を解決する総務省主催のコンテストで採択され、3月ごろまでの完成を目指している。
 本県の漁獲量は全国トップクラスだが、減少傾向にあるのが現状。背景には磯焼けや海水温上昇など、漁場環境の変化がある。
 海の豊かさが損なわれているのではないか-。そう考え、研究に着手したのは電気電子工学科5年の本山優翔さん(19)と出井和音さん(20)、同2年の田中陽樹さん(17)、専攻科複合工学専攻2年の道上竣介さん(21)。海の生物が出す音に着目し、海の見える化を図るシステム開発を進めることにした。

飼育しているニシキテッポウエビ(佐世保高専提供)

 まず、ウニの食害を早期に検知し、磯焼けの進行を防ごうと、ウニのそしゃく音の録音を試みたが満足するデータが得られなかった。そこで、沿岸部に広く生息し、生息数が海の豊かさの指標になるテッポウエビ類にターゲットを変更した。テッポウエビは体長5センチほどで、威嚇するときに「パチパチ」という天ぷらを揚げるときのような音を出す。この音を解析することで、生態系規模を調べることにした。

海中にマイクを沈めて録音する実験を行う出井さん=佐世保市内

 今後は、海上に設置したブイにマイクを付け、海中の生物音を集音した中からテッポウエビ類を特定。音がする場所や生息の密度などをウェブ上アプリにリアルタイムで表示し、海の豊かさを把握するシステムを開発する方針。
 現在は、飼育するテッポウエビ類が発する音を、周波数で識別できるように解析したり、九十九島海域の数カ所で、自作の水中マイクを沈めて録音する海上試験を行ったりしている。本山さんは「計画通りにいかないこともあるが、メンバーの協力を得ながら実現に向けて頑張りたい」と話した。


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