海辺で拾ったプラスチックごみを素材に活用して豊かなアートの世界を創り出す、糸魚川市藤崎在住の海洋ごみアート作家、リアン・スプラットさん(56、オーストラリア出身)が今年のえと・寅(とら)年にちなんだ作品を制作した。作品を通して海洋汚染への気付きを発信し、コミュニティーのつながりを願う。
ジャングルから飛び出してきそうな迫力あるトラは、地元の海岸で拾い集めた発泡スチロール箱やビニールひも、食品トレー、ペットボトルのふたなどが使われている。制作期間は6日間。ネコのようにシャープな感じから徐々に強さと優しさ、気品ある表情に仕上げていった。「タイガーはどこにいても私を見ている」と、トラのまなざしに愛情を持って見詰め返す。「力強さを一目で表現したいと思った。インパクトがあればプラ汚染の問題にも気付いてもらえる。美しい海のまち糸魚川から『海をきれいに』とメッセージを伝えたい」と話す。
作品は日本外国特派員協会の新年展示会からの依頼で制作し、作品の写真を出展。2月4日まで、東京都千代田区丸の内二重橋ビル内で展示されている。
リアンさんのアーティストとしての活動は昨年から。「マリンフレンズ・プロジェクト」を共に立ち上げた同市の伊藤薫さん(40)らと楽しく自然体験や環境教育、海岸清掃に取り組みながらアート制作を進める。小中学校でのワークショップや展示会を開き、フォトブックや物語絵本も作成した。リアンさんは「昨年はマリンの活動を通して新しい人たちとつながりが広がって驚きの連続だった。今年はジオパークとコラボした動きもやってみたい」と楽しみにする。